酔った男がインカ文明期に作られた石壁を破壊。「最大限の制裁を求める」と捜査当局
12角の石として知られるインカ文明期に作られた遺跡を酔った男がハンマーで殴打した。男の身柄はすでに確保されており、歴史的建造物の破壊の罪で、最大6年の懲役刑が言い渡される可能性がある。

ペルー当局は、「12角の石」として知られる500年前の遺物を損傷したとして、ペルーで男の身柄を拘束したと発表した。2月19日未明に起きたこの事件について、クスコの文化当局が発表した声明には次のように記されている。
「酒、あるいは薬物の影響下にあり正気を失った男がハンマーで石の装飾を6度にわたって殴打した。これにより複数の破片が落下し、象徴的な石像構造物は破損された」
ペルー国家警察の観光警察署長を務めるヘンリー・バルデスによれば、容疑者はガブリエル・ロイシ(30歳)で、犯行の様子は遺跡付近の監視カメラが捉えていたという。
アトゥンミヨルク通りにある12角の石は、インカ文明期に作られたインカ・ロカの壁の一部であり、インカ文明の高度な石工技術の象徴となっている。ペルーのクスコにある大司教宮殿の建設に使われたこの石壁は、観光スポットとして多くの人が訪れている。
クスコの文化当局が発表した声明によると、現行の規定では、破壊行為は文化に対する攻撃と見なされ、最高6年の禁固刑が科される可能性がある。クスコの文化局長を務めるホルヘ・モヤ・コアギラは、行政及び刑事上の告訴が国家警察と検察庁に提出されたといい、こう続ける。
「文化遺産に付いてしまった傷を元に戻すことはできないので、当局としては最大限の制裁を求めるつもりです。これは私たち全員が共有する遺産であり、守らなければなりません。被害の程度は、専門家によって調査が進められています」
ペルー国家警察の科学捜査専門家、クスコ文化当局の技術者や専門家は、被害が及んだ12角の石の写真を撮影し、どれほどの損傷が遺跡に及んだか、調査を進めている。(翻訳:編集部)
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