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カメラ付きロボットがコンドル装飾の巨大な陶器片を発見。ペルーの「時が止まった」3000年前の回廊から

ペルー中部にある世界遺産、チャビン・デ・ワンタル遺跡で発掘作業を行っていた考古学者たちは、このほど同遺跡の神殿群で見つかった3000年前の回廊から、重さ約16キロの巨大な陶器の破片を発見した。

チャビン・デ・ワンタル遺跡北部の広場。Photo: UNIVERSAL IMAGES GROUP VIA GETTY

この陶器片に、コンドルの頭と翼のような装飾が施されていたことから、陶器片が見つかった回廊は「コンドルの回廊」と名付けられた。2022年5月、回廊の入り口が発見された際にも、陶器の鉢が出土していた。

7月12日、考古学者でスタンフォード大学の人類学教授であるジョン・リックはロイター通信に、「回廊にあるものはすべて、時が止まったままだ」と語った。

アメリカの鳥類保護団体アメリカン・バード・コンサーバンシーによれば、南米の古代アンデス文化において、コンドルは太陽神と結び付き、上界の支配者であると信じられていた。民間伝承や神話において重要な役割を担っており、権力と健康の象徴だったという。

チャビン・デ・ワンタル遺跡は、紀元前1500〜550年頃に栄えたチャビン文化の拠点だ。この文化は、ネコ科の動物やコンドルなどの鳥をモチーフにした高度な芸術を発展させ、インカ帝国に先駆けて、2000年以上も前に定住型農村を発展させた。

同遺跡で、アンデス中央部における権力構造を探るための大規模な研究プロジェクトを指揮するリックは、ロイター通信に対し、神殿群は発見されたばかりであり、多くはまだ発掘されていないとも語っている。

「コンドルの回廊」は1945年の洪水による瓦礫で埋め尽くされており、リックのチームは古代建造物のさらなる損傷や崩壊のリスクを減らすため、カメラを取り付けたロボットを使って回廊の入り口を探索した。

チャビン・デ・ワンタル遺跡は、「石造りの建造物に囲まれたテラスと広場、神々を動物に見立てた装飾彫刻」が評価され、1985年にユネスコの世界遺産登録されている。(翻訳:編集部)

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