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ゲームの世界にもっとアートを! メトロポリタン美術館がRobloxのためのVRアプリ「Replica」をローンチ

ニューヨークのメトロポリタン美術館が、同館の所蔵作品をゲーミングプラットフォームのRobloxで楽しめる新しいVRアプリ「Replica」をリリースした。

例えばこのヘンリー2世の鎧のように、METで気に入った作品をスキャンすれば、Robloxの世界に再現させることができる。Photo: Courtesy The Metropolitan Museum of Art

今回メトロポリタン美術館(MET)がVersionとのコラボレーションで制作した「Replica」は、ゲーミングプラットフォームのRobloxで使うことができるアプリだ(iOSおよびAndroidデバイスに無料ダウンロード可能)。Robloxには既にMETの5番街側のファサードとグレートホールが完成しており、現在、実際のグレートホールに掲げられているクリー族(北アメリカの先住民族)出身のアーティスト、ケント・モンクマンによる《mistikôsiwak: Wooden Boat People》(2019)も完璧に再現されている。

Replicaの使い方は簡単。美術館を訪れた人が、例えばフィンセント・ファン・ゴッホの《Self-Portrait with a Straw Hat(麦わら帽子を被った自画像)》(1887年)といった人気作品をスキャンすれば、Robloxに転送できるという仕組みだ。METはコロナ禍の2021年、Verizonとコラボして自宅からでも同館の約12ギャラリーをヴァーチャルに楽しむことのできる「Met Unframed」をリリースしたが、Replicaはこれに続くデジタルプロジェクトとなる。 

METの館長兼最高経営責任者であるマックス・ホラインは声明の中で、Replicaは「来館者に新たなアートとの関わり方を提供すると同時に、美術館での鑑賞体験をさらに魅力的で楽しくするユニークな試み」であると称賛。そして、このアプリを「美術館とのつながりを深め、デジタル領域でのアートの楽しみ方をさらに格上げする教育的取り組みに対するMETの野心的な探求の証し」と位置付けた。

近年、若い観客を魅了するためにARやVRを用いた施策に注力する美術館は増えているが、METもその一つだ。たとえば、2022年にロンドン・ナショナル・ギャラリーは、ユーザーが自分の好きなようにコレクションをキュレーションできるゲームをリリースしている。

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