ARTnewsJAPAN

ジョージア・オキーフの正しいスペルは? NYグランドセントラル駅新ターミナルでもミス発覚

数年にわたる工事の遅延を経て、ニューヨークのグランドセントラル駅にロングアイランド鉄道の新ターミナルがオープンした。しかし、総工費110億ドル(約1.4兆円)をかけて完成した駅コンコースの壁面に、思わぬミスが見つかっている。

自作の前でポーズを取るアメリカの画家ジョージア・オキーフ(1887-1986)。1944年頃、ニューヨークにて。Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

ニューヨークの名所やこの街に縁のある著名人を記念する駅コンコースの壁には、画家のジョージア・オキーフの言葉を記した碑がある。

「ニューヨークをありのままに描くことはできないが、感じたままに描くことはできる」

心揺さぶる名言だが、残念なことにその下に刻まれた彼女の名字が「O’Keefe」と書かれている。正しい綴りは「O'Keeffe」(fが2つ)だ。

このスペルミスについて最初に報じたのはブルームバーグだった。新駅建設を監督したニューヨーク州都市交通局(MTA)の広報部長ティム・ミントンはブルームバーグに対し、「明らかなミスで、修正するよう手配した」と述べている。

アメリカのモダニズムの巨匠、オキーフの名字が間違って表記されたのはこれが初めてではなく、これまで何度も校閲担当者たちに指摘されてきた。たとえば、ニュージャージー州マールトンには「Georgia O’Keefe Way」という名前の通りがあり、つい最近までニューメキシコ州ロスクルーセスには「Georgia O’Keefe Road」があった(現在、グーグルマップでは正しい綴りに修正されている)。

オキーフの伝記『Full Bloom: The Art and Life of Georgia O'Keeffe』(Hunter Drohojowska-Philp著)によると、自分の名前がメディアで頻繁に間違って表記されることに彼女は苛立ちを感じていたという。

オキーフはアメリカ南西部の自然を描いた色鮮やかな絵で知られる。1916年に著名な写真家のアルフレッド・スティーグリッツが運営する291ギャラリーで木炭画を展示して好評を博し、1年後に同ギャラリーで開いた個展をきっかけにニューヨークで注目された。それ以降またたく間に人気画家となり、1927年にはブルックリン美術館で初の回顧展が開かれている。オキーフはこの時期に、マンハッタンの都市風景をドラマチックな光と影で表現した15点の絵画シリーズの制作を開始した。

正式名称を「グランドセントラル・マディソン駅」というこの新ターミナルに乗り入れる路線は1月25日に開通したばかり。ロングアイランドからマンハッタンのミッドタウンに直接アクセスでき、MTAによると約16万人が通勤・通学などで利用する見込みだ。大勢の利用客が通るコンコースの碑のスペルミスが早く修正されることを願うばかりだ。(翻訳:野澤朋代)

from ARTnews

あわせて読みたい