女性の姿が描かれた「極めてまれ」な青い壁の部屋を発見。「ポンペイはまさに宝箱」
イタリアのポンペイ考古学公園で進む調査で、古代ローマの祭祀所と見られる青い壁の部屋が新たに発掘された。青い壁は非常にめずらしく、この部屋の重要性を物語るものと見られている。
イタリア・ポンペイで、新たに広さ約8平方メートルの部屋が発掘された。青い壁には、四季や農業、牧畜を表す女性像が描かれている。青く塗られた壁は極めてまれで、考古学研究者は儀式や神聖な物の保管のために使われたものと考えている。
青い壁の部屋が見つかったのは、ポンペイの中心部にあるレジオIXと呼ばれる区画。ここには住宅が集まっており、最盛期には1070戸の住宅に1万3000以上の部屋があったとされる。
部屋からは、持ち運びできるよう取っ手のついたアンフォラと呼ばれる素焼きの容器が15個、ブロンズ製の水差しとオイルランプがそれぞれ2個ずつ見つかった。また、部屋の床にはカキ殻など、建物の修復用資材も置かれていた。カキ殻は、細かく砕かれてしっくいやモルタルに加えられたと見られる。
今回の発見について、イタリアのジェンナーロ・サンジウリアーノ文化相はユーロニュースにこう述べた。
「発掘のたびに美しく重要な発見があるポンペイは、私たちを驚かせ、驚嘆させてやみません。まさに宝箱と言えます」
その言葉通り、最近ポンペイでは大きな発見が相次いでいる。たとえば、「慎み深い恋人たちの家」では剣闘士や狩人を描いたと思われる子どもの落書きが、近くにある「作業中の塗装職人の家」の外では、夫婦と見られる男女の遺骨が見つかった。また、この建物の所有者の亡くなった息子と思われる、頭巾をかぶった少年を描いた小さな絵も発見されている。4月には、同じ区画でトロイ戦争を描いた黒い壁のある宴会場が見つかったことが発表された。
イタリア文化省はCNNの取材に対し、調査にあたる専門家たちは、発掘方法を向上させ、「広大なポンペイ遺跡の保護を(中略)より効果的かつ持続可能なものにする」ことを目指していると説明している。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews