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ロシア軍のウクライナ侵攻がアート界に与えた影響【2022年のアートニュースまとめ】

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、展示の中断、文化財の損壊や略奪などアート界にも影響を与えている。また11月にはバンクシーがウクライナで爆撃跡地に制作した逆立ちする女性の壁画が確認された。

Photo: Wikimedia Commons

モスクワのガレージ現代美術館、ウクライナ戦争のため展示を中断

ガレージ現代美術館(モスクワ)の外観。Photo: Vladimir Pesnya/Sputnik via AP

モスクワの芸術機関とアーティストのウクライナ戦争への対応が続いている。2月26日にガレージ現代美術館(モスクワ)は、Eメールでのプレスに向けた声明で「ウクライナで繰り広げられている人的・政治的な惨劇が収束するまで、全ての展示を停止する」と発表。また、アイスランドを代表するアーティストのラグナル・キャルタンソンは、モスクワの美術館GES-2での展覧会を早々に終了した。

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ウクライナのホロコースト追悼碑付近にロシアのミサイルが着弾

ウクライナの首都キエフにあるバビ・ヤール・ホロコースト追悼センタ ー内の鏡のインスタレーション  Photo: Maxym Marusenko/Nurphoto via AP

ロシアによるウクライナ侵攻から一週間が経ったころ、ウクライナの都市部では陸空両方からの攻撃が激化。ロシア軍の戦火がウクライナの文化財にも影響を及ぼしはじめた。キエフ北部イヴァンキフの美術館が爆破された際には、ウクライナの国民的画家であるマリア・プリマチェンコの作品が破壊された。3月1日には、キエフ市内のバビ・ヤール・ホロコースト追悼センター(第二次世界大戦中にナチスによって2日間で3万3000人以上のユダヤ人が虐殺された場所)の付近にロシア軍の砲弾が撃ち込まれた。

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ウクライナ侵攻激化のなか、行動する芸術家たち

鉄道の駅で乗車スペースが空くのを待つ人々(2月25日、ウクライナ・キエフにて)。Photo: Justin Yau/Sipa USA, Sipa via AP Images

ロシアのウクライナ攻撃が激化し、首都キエフが包囲されるなか、ウクライナ国内外のアーティストは先行き不透明な状況に置かれている。

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ロシア資本のオークション会社フィリップス、「経済制裁はビジネスに影響しない」

フィリップスのニューヨーク本社。Photo: Phillips

ロシア軍のウクライナ侵攻で戦闘が続く中、ロシア政府とつながりのあるオリガルヒ(新興財閥)に大規模な経済制裁が課されている。

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ウクライナのアート関係者とロシアの反体制アーティストに、フランスが100万ユーロの緊急支援基金を設立

フランスのマルセイユで行われたウクライナ支援デモ。Photo: ZUMA Press/アフロ

フランス政府は、ロシアの侵攻によりウクライナを追われたアーティストやアート関係者のために、100万ユーロ(約1億3000万円)の救援基金を設けると発表。フランス文化省の声明によると、言論弾圧が進むロシアから逃れてきた「反体制的」ロシア人アーティストも支援の対象となるという。

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ロシアの美術館から名作を集めたルイ・ヴィトン財団の展覧会、作品返却に問題発生か

ルイ・ヴィトン財団のモロゾフ・コレクション展のオープニング。Photo: Romain GAILLARD-POOL/SIPA via AP

ルイ・ヴィトン財団がパリで開催中のモロゾフ・コレクション展には、2021年9 月22日の開幕以来、100万人を超える来場者が詰めかけている。展示されているのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてパトロンとし て活動したロシア人、イワンとミハイルのモロゾフ兄弟が収集した世界有数の近代美術コレクションだ。

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ウクライナがNFT博物館を開設。戦争の記録を後世に残す

戦争博物館(Museum of War)のロゴ。Photo: Meta History

ウクライナがNFT(非代替性トークン)の博物館を立ち上げた。ウクライナのデジタル変革省副大臣、アレックス・ボルニャコフは「ウクライナの国家と歴史を守るため」と述べている。

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ロシア侵攻でウクライナの文化財53カ所が損壊。ユネスコが公表

ハルキウ(ハリコフ)近郊、ドロビツキー・ヤールのホロコースト記念碑。Photo: NPR

ユネスコによると、ロシアのウクライナ侵攻開始以来、53の文化財が破壊された。アメリカの公共ラジオ放送(以下、NPR)が報じた。

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フィンランドがロシア行き美術品4600万ドル相当を押収

ヴァーリマーの国境検問所でフィンランド税関に押収されたロシアの美術品。Photo: Finnish Customs

フィンランド税関が、ロシアへの美術品輸送3件の差し押さえを行ったとフィンランド政府当局が発表した。押収された美術品は総額4600万ドル相当という。

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フィンランド税関、押収したロシアの美術品を返還。フランスは返却を保留中

イタリアの2つの展覧会に貸し出されていた美術品が、ロシアの国立エルミタージュ美術館に帰還。美術品を運び入れる作業員ら。Photo: Alexei Danichev / Sputnik via AP

4月8日、フィンランド外務省は税関当局が押収していた美術品の貨物3点をロシアに返還すると発表した。

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ロシア軍に破壊されたウクライナの文化財リスト。大規模な略奪も

空爆で破壊されたクインジ美術館(マリウポリ)。Photo: Alexey Kudenko/Sputnik via AP

5月7日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、ウクライナ最大の美術館であるリビウ国立美術館が、ロシアの破壊的な軍事攻撃への抵抗を示すため、18ある分館の一部を再開する。分館の多くは外壁が崩壊したが、フランシスコ・デ・ゴヤピーテル・パウル・ルーベンス、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールなどの貴重な所蔵作品は、避難所へ移動・保護されている。

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ウクライナ軍が考古学上の重要遺物を発見。空爆激化のオデーサで

オデーサで発見された古代のアンフォラ。Photo: 126th Territorial Defence

5月上旬、ウクライナ軍兵士が南部の港湾都市オデーサで塹壕を掘っていたとこ ろ、貴重な埋蔵物が見つかったと発表された。

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英サーチ・ギャラリー、ウクライナ支援のチャリティ展覧会がロシア人コレクターの関与疑惑で中止に

サーチ・ギャラリーで開催が予定されていた展覧会「The Ukrainian Way(ウクライナのやり方)」の宣伝用ビジュアル Photo: Saatchi Gallery

8月17日、ロンドンのサーチ・ギャラリーが、ウクライナのアートを紹介するチャリティ展覧会を中止したことがわかった。ロシアの銀行家でアートコレクターのイーゴリ・ツカノフと、同じくロシアのコンサルタントでアートパトロンのマラト・ゲルマンが関わっているこの企画が、ネットで激しく批判されたことを受けての判断だ。

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バンクシーがウクライナで新作を制作! 爆撃跡地に逆立ちする女性の壁画

ウクライナに登場したバンクシーの新作 Photo: ED RAM/GETTY IMAGE

11月11日、バンクシーが、ウクライナ・ボロディヤンカの爆撃されたビルに制作した壁画を公開した 。

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