ウクライナがNFT博物館を開設。ブロックチェーンで戦争の記録を後世に残す
ウクライナがNFT(非代替性トークン)の博物館を立ち上げた。ウクライナのデジタル変革省副大臣、アレックス・ボルニャコフは「ウクライナの国家と歴史を守るため」と述べている。
ボルニャコフ副大臣がツイッターで発表したのは「メタ・ヒストリー:戦争博物館」という名のウェブサイトだ。このサイトには、戦争で起きたことを時系列に記した「ウォーライン」というページがあり、それぞれの出来事に対応するNFTアート作品が並んでいる。
各NFTは、戦争の重要な瞬間に関するツイートと、ウクライナのさまざまなアーティストによるイラストで構成されている。たとえば、侵攻開始3日目のウクライナ時間午後4時40分にNATOがロシアへ侵攻の停止を呼びかけたツイートには、拡声器が付いた羅針盤を描いた画像が添えられている。これは、アーティストのアリーナ・クロパチョワの作品だ。
3月31日時点では、侵攻開始後6日目までの出来事が100点を超えるNFTでウォーラインにアップされている。NFTは3月30日から0.15ETH(3月30日時点で約500ドル)で販売されており、その売上はウクライナのデジタル変革省に直接送られる。メタ・ヒストリーのツイッターでは、このプロジェクトはブロックチェーンという永続的な台帳を利用して、ロシアのフェイクニュースやプロパガンダに対抗するものだと説明されている。
同アカウントはまた、次のようにツイートしている。「ロシアはウクライナで、軍事兵器と同じように偽情報を使っている。我われのNFT博物館は、ブロックチェーンを用いて戦争で実際に起きた出来事を記憶にとどめ、ウクライナ支援の慈善寄付を集めるという意図に基づいたものだ」
さらに、こんなツイートもある。「誰もが見ることができ、かつ誰も変更することができない無限の情報の連なりを想像してみてほしい。事実を永遠に記録するための完璧なソリューションと言えるのではないだろうか」
ブロックチェーン技術を使えば、あらゆるものが不滅になる。メタ・ヒストリーのウォーラインでは、各国の政府機関や公人などのツイートを、それぞれの出来事が検証された印として活用している。
これまでも、NFTを活用して成果を出した募金活動は少なくない。プッシー・ライオットのメンバーであるナジェージダ・トロコンニコワが主導したNFTプロジェクト、ウクライナDAOが500万ドルを超える資金を集めるなど、NFTのコミュニティによる数多くの取り組みが進行している。
ただし、サイバースペースでは詐欺も多い。メタ・ヒストリーはツイッターで、オープンシーのプラットフォームでなりすましが見つかったと警告している。(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年3月28日に掲載されました。元記事はこちら。