今週末に見たいアートイベントTOP5: 写真界の巨匠ルイジ・ギッリによるアジア初個展、草間彌生らの約130点で迫る版画の魅力
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. NEW Days(Art Center NEW)
8人の作家が見つめ直す「新しさ」
芸術複合施設「Art Center NEW」が横浜に新たに誕生した。同スペースでは、展覧会、音楽ライブ、トーク、ワークショップなどの活動を通して「新しさ」とは何かを探求していく。そのこけら落とし展となる本展は、若手からベテランまで幅広い年代のアーティスト8人による、絵画、映像、写真、インスタレーション、パフォーマンスなどの多様な表現を紹介する。
出展作家は尾﨑藍、キンマキ、下司悠太、トモトシ、中野岳、東野哲史、大和楓、三田村光土里。幕末維新期以降、現在に至るまで「新」の存在感は変化し続けている。作品も同様に、過去のまま止まらない。彼らの作品を通して、現在進行形で変わり続ける「新しさ」を見つめ直す。
NEW Days
会期:6月1日(日)~7月20日(日)
場所:Art Center NEW(横浜市西区みなとみらい5-1 新高島駅 B1F)
時間:12:00~20:00
休館日:水木
2. DIEGO「WRITER IN THE DARK」(parcel)
「暗がりの中での存在感」の可視化に挑む
1986年生まれ、東京在住のDIEGOは、都市にひそむ構造や風景の「隙間」に目を向け、絵画やインスタレーションを通じて見過ごされがちな場所に新たな意味を与える実践を続ける。そして、街で普段何気なく目にするものをユーモラスに擬人化したキャラクターを抽象的に描いてきた。
本展は、DIEGOがこれまで探ってきた「現場と展示空間」、「感覚と記録」といったテーマに、あらためて向き合う。彼は制作を行う「夜のスタジオ」と、それが最終的に「白いギャラリー空間」に展示されるときに生じる違和感に強い関心を寄せてきた。今回の展示では、照明の操作や空間構成を通じて、作品そのものが孕む「暗がりの中での存在感」の可視化に挑む。画面に落ちる影や、作品を取り巻く空気の温度、湿度といった要素が、都市の周縁に立ち現れる光と闇の関係性を空間全体で再構成する。
DIEGO「WRITER IN THE DARK」
会期:6月28日(土)~7月27日(日)
場所:parcel(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル2F)
時間:14:00~19:00
休館日:月火祝
3. 深瀬昌久写真展「洋子/遊戯」(FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館)
「洋子」シリーズから33点を没後初公開
「私写真」の先駆者として、日本の現代写真史に比類ない足跡を残した写真家、深瀬昌久(1934-2012)。近年、海外において日本の写真家への関心が高まり続けている中、特に深瀬は展覧会の開催や写真集の発刊に加え、今春、その半生を描いた映画『レイブンス』が公開されるなどひときわ大きな注目を浴びている。
本展では、1963年に出会い、翌年に結婚した妻・洋子を10年余にわたって撮り続けたシリーズから初期にあたる33点のヴィンテージプリントを、没後初めて展示する。「自分のテーマはいつも身辺、手で触れられるものから始まる」と語った深瀬の作品は、見る人々それぞれに「自己とは?」「他者とは?」、さらに写真の本質について、大きな問いかけを投げかけるだろう。
深瀬昌久写真展「洋子/遊戯」
会期:7月1日(火)~9月30日(火)
場所:FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館(東京都港区赤坂9丁目7−3)
時間:10:00~19:00(最終日は16:00まで、入場は10分前まで)
休館日:なし
4. 版画ってアートなの?(町田市立国際版画美術館)
ブリューゲルから草間彌生まで約130点で版画の魅力に迫る
版画は同じ絵を何枚も作り出す複製の技術として生まれ、今では美術作品としても私たちを楽しませてくれる。過去、デューラーやピカソなど多くの画家が版画作品を手掛け、現在では多様な素材や技法を組み合わせた、版画の枠を超えた作品が次々と生み出されている。
本展では、同館のコレクションを中心に、アルブレヒト・デューラー(1471-1528)からピーテル・ブリューゲル(1525/30-1569)、バブロ・ピカソ(1881-1973)から草間彌生、福田美蘭、長田奈緒まで、約130点の作品を通して様々な版画の魅力を紹介する。
版画ってアートなの?
会期:7月5日(土)~9月21日(日)
場所:町田市立国際版画美術館(東京都町田市原町田4-28-1)
時間:10:00~17:00(土日祝は17:30まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜日(祝日は翌火曜休み)
5. 総合開館30周年記念 ルイジ・ギッリ 終わらない風景(東京都写真美術館)
イタリア写真界の巨匠によるアジア初個展
イタリアを代表する写真家ルイジ・ギッリ(1943-1992)のアジア初個展。ギッリは測量技師としてのキャリアを積み、コンセプチュアル・アーティストたちとの出会いをきっかけに、1970年代から本格的に写真家として活動を始めた。
本展では、1970年代から晩年にかけてギッリが撮影した地元イタリアや旅先の景色や、画家ジョルジョ・モランディらアーティストのスタジオ、自宅の室内、美術品、看板やポスター、窓や鏡に映る風景など、多様な視覚的断片によって構成された風景表現を紹介する。あわせて、彼の活動を語るうえで欠かせない存在であり、自身もグラフィック・デザイナーとして活動した妻パオラ・ボルゴンゾーニ(1954-2011)の作品や資料も紹介。ギッリの約20年にわたる写真に対する多角的な思索を辿る。
総合開館30周年記念 ルイジ・ギッリ 終わらない風景
会期:7月3日(木)~9月28日(日)
場所:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00~18:00(木金は20:00まで、8月14日~9月26日の木金は21:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝休日の場合は翌平日休み)