モスクワのガレージ現代美術館、ウクライナ戦争のため展示を中断
モスクワの芸術機関とアーティストの、ウクライナ戦争への対応が続いている。2月26日にガレージ現代美術館(モスクワ)は、「ウクライナで繰り広げられている人的・政治的な惨劇が収束するまで、全ての展示を停止する」とプレス向けにEメールで声明を発表。また、アイスランドを代表するアーティストのラグナル・キャルタンソンは、モスクワの美術館GES-2での展覧会を早々に終了した。
モスクワのゴーリキー公園にあるガレージ現代美術館では、リディア・マスターコヴァ、アン・イムホフ、ヘレン・マルテン、サオダッド・イズマイロボの展示が予定されていた。同館のウェブサイトにも掲載されている声明では、「プロジェクトが延期された、信頼と熱意を持って我々と仕事をしてきたアーティストへの義務を果たす」ことが示されている。マスターコバの展覧会は3月16日に、また、2017年ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞したイムホフのロシア初となる展覧会は4月5日に開幕する予定だった。
ラグナル・キャルタンソンの「Santa Barbara – A Living Sculpture(サンタ・バーバラ−生きる彫刻)」展は、2021年12月にV-A-C財団の新しい文化施設GES-2でスタートし、3月13日まで開催される予定だった。キャルタンソンはアイスランド国営放送で「この惨劇のなかで、この作品を展示することは不可能だ」と話し、ロシアを「ファシスト国家」と呼んだ。
ガレージ現代美術館は、著名な現代アートコレクターであるダーシャ・ジューコワと、彼女の元パートナーで同じくコレクターのロマン・アブラモヴィッチによって2008年に設立された。その後、美術館はバスのガレージ跡地から、ゴーリキー公園のレム・コールハース設計の建物へと拡張。V-A-C財団は実業家コレクターのレオニード・ミケルソンによって2009年に創設された。(翻訳:編集部)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年2月26日に掲載されました。元記事はこちら。