考古学ファンの少女が発見! 1000年前の希少な宝物がヴァイキング王の要塞近くで出土
デンマーク北部にあるヴァイキングが築いた要塞の近くで、考古学ファンの少女が1000年以上前のものと見られる銀貨や装飾品などの宝物を発見した。
昨年秋、デンマーク北部のホーブロー近くにあるヴァイキングの要塞、フュアカトから8キロほどの畑から銀貨を発見したのは、地元のアマチュア考古学協会会員の少女だった。銀貨は、50メートルほど離れた2カ所から発掘され、ハーラル1世(青歯王)が現在のデンマークとノルウェーを治めていた980年頃のものと見られている。
片面に十字架が描かれたこの時代のコインは、ハーラル1世が息子に王権を奪われるまでの数十年間しか流通しなかった希少性の高いものだ。
2つの場所からは、300点ほどの銀の装飾品と約50枚の銀貨が見つかった。考古学者の見立てでは、銀貨はデンマーク、アラブ、ゲルマンのもので、装飾品はスコットランドまたはアイルランドのものだという。北ユトランド歴史博物館がこのほど発表したところによると、装飾品はその重量によって価値が決まり、細部の芸術性やそれを所有することに重きが置かれたのではなく、「おそらくは取引の支払いに使われたか、スカンジナビア様式の新しい装飾品に作り変えられた」という。
同博物館のラース・クリスチャン・ノルバッハ館長は、「このような宝物は非常にめずらしい」とAFPの取材に答え、見つかった銀貨などはフュアカトの要塞が築かれたのと同じ頃のもので、ヴァイキングの歴史に関する理解を深める一助になると語った。
また、博物館の調査担当で考古学者のトーベン・トリアー・クリスチャンセンは、今回発見された場所に「非常に驚いた」と述べている。というのも、環状の塁壁を持つフュアカトの要塞が使われたのはごく短い期間で、ハーラル1世がこの砦を放棄した理由も解明されていないからだ。
クリスチャンセンは、博物館による発表の中でこう説明している。「おそらく要塞の放棄は自発的なものではなく、ハーラル1世と息子のスヴェン1世の決戦に関連して起きたのだと思われます。ブラムスレフの畑で見つかった宝物は、要塞が使われなくなったのと同時期か、そのすぐ後に埋められたようです。フュアカトで戦いがあったのなら、その地の有力者が宝物を隠すため、人目に付かない場所に埋めたとしても不思議ではありません」
今秋には、デンマークの関係政府機関から40万デンマーク・クローネ(約800万円)の助成を得て、この地域でさらなる考古学的調査が行われる。調査の焦点は、銀製品が埋められた当時、このあたりに人家が存在したのか、それが「今までに知られている様式のヴァイキングの家屋なのか」にあるという。
今回発見された銀貨や装飾品は、7月からオールボー市の歴史博物館で展示が予定されている。(翻訳:石井佳子)
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