【2026年上半期】日本のアートフェア&芸術祭9選──老舗イベントからニューフェイスまで

アートフェア芸術祭は、アート業界の「いま」や「これから」を知るための重要な場だ。新たなイベントも生まれ、注目の年となりそうな2026年上半期に訪れたい9のイベントを紹介する。

ART OSAKA 2025 Expanded Section
ART OSAKA 2025 Expanded Section 髙橋穣 《装置#1》 Photo : Courtesy of Marco Gallery, ART OSAKA 2025 Expanded セクション Photo by Taiya Yuico

2026年上半期は、アートフェアにニューフェイスが登場。老舗のイベントも新しい企画を展開するなど進化をみせる。また、従来のアートの領域からジャンルを拡大し、演劇や映像、音楽といった多ジャンルを往来する動きも目立つ。今年前半に訪れたい9つのアートフェア・芸術祭を見ていこう。

1. CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア) Tokyo

2025年のアートフェアの様子。 Photo: 柳原美咲
2025年のアートフェアの様子。 Photo: 柳原美咲
2025年のアートフェアの様子。 Photo: 柳原美咲
雨宮庸介ドローイング 2025
「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」2025展示風景より  撮影:柳原美咲
「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」2025展示風景より  撮影:柳原美咲
「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」2025展示風景より  撮影:柳原美咲
3階バルコニーでは「期間限定カフェ」がオープンする。 撮影:柳原美咲
会場のkudan house。

展覧会(1月23日~2月8日)とアートフェア(2月13日~15日)の2部構成という、他にはないスタイルのアートイベント。展覧会で作品への理解が深められるため、初めてのアート購入にもおすすめだ。会場は、一般非公開の登録有形文化財「kudan house(旧山口萬吉邸)」。キュレーターの遠藤水城が2024年の初回から掲げる展覧会テーマ「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」は、今回で最終章を迎える。溶けたリンゴの彫刻などで知られる雨宮庸介、幾何形体で構成した抽象画などを手がけてきた五月女哲平らが出品する。アートフェアには、ANOMALY、KANEGAE、しぶや黒田陶苑、TARO NASUなど20のギャラリーが参加予定。

CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア) Tokyo
日程:1月23日(金)〜2月8日(日)、2月12日(木)〜15日(日)(12日はプレビュー)
会場:kudan house(東京都千代田区九段北1-15-9)


2. ART FAIR NAGOYA 2026

会場となるANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋の外観。
会場となるANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋のロビー。
出品作家のCécile Andrieu 作品。

日本の三大都市・名古屋にこの冬、新たなアートフェアが誕生する。「アートを楽しみ 生活に取り入れる」をテーマにするART FAIR NAGOYAは、ホテルの客室が舞台。老舗から新進の26ギャラリーが集い、日本人アーティストを中心に選りすぐりの現代美術を展示販売する。絵画、ミクストメディア、ガラス、木彫、金工作品と、ジャンルもさまざまだ。地元からはGALLERY IDF、AIN SOPH DISPATCH、アートハブナゴヤ、ジルダールギャラリー、名古屋画廊などが参加。全国からは、Nii Fine Arts(大阪)、ミヅマアートギャラリー、レントゲン、和田画廊(東京)、悠遊舎ぎゃらりぃ SAPPORO(北海道)などが出展する。

ART FAIR NAGOYA 2026
日程:2月6日(金)〜 8日(日)(6日はプレビュー)
会場:ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋 26・27F(愛知県名古屋市中区金山町1-1-1)


3. 恵比寿映像祭2026

アンジェリカ・メシティ《The Rites of When》(時にまつわる儀式)2024年  Courtesy of the Artist and Anna Schwartz Gallery
張恩滿《蝸牛樂園三部曲-啟航或終章》(カタツムリ楽園三部作-出航か終章か)2021年 高雄市立美術館蔵
トモコ・ソヴァージュ《Barrissando》2020年  ©Tomoko Sauvage
恵比寿映像祭2026 「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」キービジュアル。

東京都写真美術館を主会場にした、映像とアートの国際フェスティバル。映像や写真展示、ライブパフォーマンスのほか、新たにサウンドや演劇といった異なる表現も取り入れる。今回のテーマは、メインキュレーターのチィウ・ユーシュェンが台湾語から発想した「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」。メイン展示は、人類学的な視点から「声」「環境」「記憶」「誤読」に焦点を当てる。街中での実験的な屋外展示にはエキソニモ、FAMEMEが登場。劇映画や実験映像などの特別プログラムが連日上映され、東京都所蔵作品の特別公開もある。参加作家にキュンチョメ、さわひらき、スーザン・ヒラー、チョン・ソジョン、ホー・イーティンらが名を連ねる。

恵比寿映像祭2026
日程:2月6日(金)〜 23日(月祝)※コミッション・プロジェクト(3F展示室)は3月22日(日)まで
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)、恵比寿ガーデンプレイス各所ほか


4. ARTISTS' FAIR KYOTO 2026

京都国立博物館 明治古都館。
臨済宗大本山 東福寺。
2025年の明治古都館会場風景。

現代美術家の椿昇がディレクターを務め、アーティストたちが自ら企画販売して来場者と直接対話する異色のアートフェア。第一線で活躍する作家16組が「アドバイザリーボード」として気鋭の若手を推薦し、公募を合わせた約40組に光を当てる。9回目の今年は、加藤泉が酒井千明、名和晃平が広田郁也、ヤノベケンジが小笠原周、大巻伸嗣が広瀬里美らを推薦する。アドバイザリーボードには木村伊兵衛写真賞受賞作家の鷹野隆大らが初参加する。東福寺では、アドバイザリーボードらによる展覧会「AFK Resonance Exhibition」が開かれ、ロバート・プラット、鬼頭健吾、ミヤケマイらの代表作や新作が披露される。新しい試みとして、リュ・ジェユンら過去の出品者5組が加わる。

ARTISTS' FAIR KYOTO 2026
日程:2月21日(土)~23日(月祝)/AFK Resonance Exhibitionは3月1日(日)まで
会場:京都国立博物館 明治古都館(京都府京都市東山区茶屋町527)、臨済宗大本山 東福寺(京都市東山区本町15-778)


5. シアターコモンズ '26

2025年開催の様子。
2025年開催の様子。
2025年開催の様子。

都内各所を舞台に、演劇の力で都市にあらたな「コモンズ(共有地)」を生み出すプロジェクト。日常生活や都市空間に演劇的な発想を持ち込み、劇場や演劇の未来像を示すとともに、日常を異化させるような対話や発見の場をアーティストたちが仕掛ける。2017年から毎年開催を重ね、今回で10回目。昨年は「ブレス・イン・ザ・ダーク/暗闇で呼吸する」を全体のテーマにし、キュンチョメによる体験型パフォーマンスなどが行われた。例年、演劇や各種パフォーマンス、観客参加型のプログラム、フォーラムなど趣向を凝らした内容が企画される。

シアターコモンズ '26
日程:2月26日(木)〜 3月8日(日)
会場:東京都内各所


6. アートフェア東京 20

ART FAIR TOKYO19の会場風景。
Photo: Courtesy of ART FAIR TOKYO, Photo by ART FAIR TOKYO19 photography team(Rui Ozawa/Yutaro Yamaguchi/Ryohei Sawaki/Yoshiki Osanai)
ART FAIR TOKYO19の会場風景。
Photo: Courtesy of ART FAIR TOKYO, Photo by ART FAIR TOKYO19 photography team(Rui Ozawa/Yutaro Yamaguchi/Ryohei Sawaki/Yoshiki Osanai)
ART FAIR TOKYO19の会場風景。
Photo: Courtesy of ART FAIR TOKYO, Photo by ART FAIR TOKYO19 photography team(Rui Ozawa/Yutaro Yamaguchi/Ryohei Sawaki/Yoshiki Osanai)

日本のアート市場のいまを映し出す大規模な国際的アートフェアが、記念すべき20回目を迎える。展示は主に3セクションで構成。メインの「ギャラリーズ」には、古美術から近代美術、注目の現代アートまで幅広いジャンルが揃う。「クロッシング」には百貨店や地方工芸団体などの団体や法人が出展。「プロジェクツ」では気鋭の作家の個展やギャラリー同士のコラボ企画が見られる。今回は国内外から141ギャラリーが参加を予定。LEE SAYA、小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、カイカイキキギャラリー、TARO NASUなど国内の主要ギャラリーを一度に見て回ることができる。昨年新設された映像作品セクションの“新展開”にも注目したい。

アートフェア東京 20
日程:3月12日(木)~15日(日)(12日はプレビュー)
会場:東京国際フォーラム ホールE・ロビーギャラリー(東京都千代田区丸の内3-5-1)


7. KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

森山大道 From Letter to St-Loup, 1990. Photo: © Daido Moriyama/Daido Moriyama Photo Foundation.
森山大道 Stray Dog, Misawa, 1971. From A Hunter. Photo:
© Daido Moriyama/Daido Moriyama Photo Foundation.

タンディウェ・ムリウ The Space Between Love and Comfort 2025  Photo: © Thandiwe Muriu, Courtesy 193 Gallery
福島あつし作品。 Photo: © Atsushi Fukushima
ファトマ・ハッスーナ作品。 Photo: © Fatma Hassona
会場の出町桝形商店街DELTA / KYOTOGRAPHIE。 Permanent Space Photo: ©︎Takeshi Asano
会場の八竹庵(旧川崎家住宅)。Photo: ©Takeshi Asano

日本の国際写真展の代表格として知られ、町家や寺院など京都の街全体を写真の舞台へと変える。今年のテーマは「EDGE(エッジ)」。「縁」や「鋭利」を意味し、衝突が起きる瀬戸際や先端的な新しさも想起させる言葉だ。メインプログラムでは8カ国13組のアーティストを紹介。ブラジルのモレイラ・サレス研究所(IMS)キュレーター、チアゴ・ノゲイラによる国際的写真家・森山大道の雑誌や出版物に特別な焦点を置いた回顧展や、ケニア出身で自らの文化的ルーツを下敷きにするタンディウェ・ムリウの作品展などが見られる。福島あつしは、農場で働きながら現場に噴き上がる生と死のエネルギーを捉えた作品群を発表。ガザの日常を記録し続けるも、2025年に空爆によって25歳で生涯を閉じたパレスチナのファトマ・ハッスーナの追悼展も企画される。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
日程:4月18日(土)〜 5月17日(日)
会場:京都市京セラ美術館本館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)など市内十数会場


8. KOBE ART MARCHÉ 2026

2025年の様子。
公募展「Artist meets Art Fair」入選者展示の様子。
会場となる神戸メリケンパークオリエンタルホテル。

神戸港を望むホテルのワンフロアを丸ごと会場にする、現代美術中心のアートフェア。各ギャラリーが、客室を1室ずつ使用。部屋の壁やベッド、サイドテーブル、バスルームなどを使った展示販売は、アートのある暮らしをイメージしやすいと好評だ。17回目となる今回、神戸の街との繋がりをより意識し、アートに馴染みのない人も気軽に美術作品に出会える開かれた場づくりに力を入れるという。才能の発掘と支援を目的にした公募展も同時開催し、来場者投票によって「オーディエンス賞」を決定する。一般社団法人神戸芸術振興協会が主催し、昨年は国内外の43ギャラリー、約260人のアーティストを紹介した。

KOBE ART MARCHÉ 2026
日程: 5月22日(金)〜 24日(日)(22日はプレビュー)
会場:神戸メリケンパークオリエンタルホテル7F(兵庫県神戸市中央区波止場町5-6)


9. ART OSAKA 2026

ART OSAKA 2025 Expanded Section 河合政之《四元素+natura:data》Photo : Courtesy of MORI YU GALLERY, ART OSAKA 2025 Expandedセクション Photo by Yamamoto Yuto
ART OSAKA 2025 Expanded Section 河合政之 《四元素+natura:data》Photo : Courtesy of MORI YU GALLERY, ART OSAKA 2025 Expandedセクション Photo by Yamamoto Yuto
ART OSAKA 2025 Expanded Section 髙橋穣 《装置#1》 Photo : Courtesy of Marco Gallery, ART OSAKA 2025 Expanded セクション Photo by Taiya Yuico
ART OSAKA 2025 Galleries Section展示風景。
ART OSAKA 2025 Galleries Section展示風景。
ART OSAKA 2025 Galleries Section展示風景。
Galleries Sectionの会場となるコングレスクエア グラングリーン大阪。
Expanded Section会場のクリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)。

関西を代表するギャラリストたちが運営する、国内で指折りの歴史を持つ現代アートフェア。中でも造船所跡のクリエイティブセンター大阪で繰り広げられる、大型作品やインスタレーションに特化した「Expandedセクション」は必見だ。ギャラリーがブース形式で出展する「Galleriesセクション」は今年、アクセスのよいグラングリーン大阪に会場を移す。映像作品や映像を使ったインスタレーション、若手や地方のユニークなアートスペースなど、ブースを4タイプに分けて展開。国内をはじめ韓国台湾などの約50ギャラリーが参加する。ギャラリストの視点から現代アートの歴史を切り取るテーマ展示にも期待が高まる。

ART OSAKA 2026
日程:「Expandedセクション」5月28日(木)~ 6月1日(月)/「Galleriesセクション」5月29日(金)~ 31日(日)(29日はプレビュー)
会場:クリエイティブセンター大阪(大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)/コングレスクエア グラングリーン大阪(大阪市北区大深町5-54 グラングリーン大阪 南館4F)

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