ゴーギャン作品の「塗りつぶされた性器」、復元の可能性。米美術館が検閲塗装の除去を検討

ヘンリー&ローズ・パールマン財団がブルックリン美術館寄贈した、ポール・ゴーギャン(1848-1903)の彩色レリーフパネル《テ・ファレ・アム(Te Fare Amu)》(1895-1897)には、裸婦の性器部分を覆う後年の塗装が残されている。同館は今回の寄贈を機に、上塗りの除去について検討する方針を明らかにした。

ポール・ゴーギャン《テ・ファレ・アム(Te Fare Amu)》(1895-1897)部分。Photo: Courtesy Henry and Rose Pearlman Foundation

2025年8月、アメリカニューヨークに拠点を置くヘンリー&ローズ・パールマン財団は、所蔵する全63点の美術作品をニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)、ブルックリン美術館の3館に分散して寄贈すると発表した

うちブルックリン美術館が受け取る予定の作品は、シャイム・スーティン、エドガー・ドガアメデオ・モディリアーニによる絵画や彫刻など29点。その中には、19世紀末、あるいは20世紀初頭につくられた説もあるポール・ゴーギャンの彩色レリーフパネル《テ・ファレ・アム(Te Fare Amu)》(1895-1897)が含まれている。この作品は、ポリネシアに移住したゴーギャンが自宅の入口を飾るために制作したとされる。

セコイアの板に浅く彫られた幅約1メートル50センチのレリーフ《テ・ファレ・アム》の左側には、しゃがんだ裸体の女性像が描かれている。背中には赤い点が並び、赤い唇が強調されているが、当初は女性の性器も赤く彩色されていた。アート・ニュースペーパーによると、同財団設立者のヘンリー・パールマンは1954年、パリでフランスの個人コレクターからこの作品を購入した。しかし作品が「わいせつ」だとしてアメリカ税関に押収されることを恐れ、女性の性器部分を緑色の顔料で塗りつぶしたという。

ポール・ゴーギャン《テ・ファレ・アム(Te Fare Amu)》(1895-1897)Photo: Wikimedia commons

パールマン財団のウェブサイトには、パールマンが塗りつぶす前の状態、すなわち人物の性器が確認できる状態を示すX線画像も掲載されている

この塗りつぶしについて、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の保存修復家リンダ・ジカーマンは作品が非常に浅いレリーフである点に注目し、「彫刻というより、木板に描かれた絵画と考えることもできる」と指摘した。こうした性質から、作品の重要な要素である色彩を改変することは「ゴーギャンの本来の構想に対する重大な編集的抑圧」であると批判している。

《テ・ファレ・アム》は2017年、シカゴ美術館で開催された「ゴーギャン:錬金術師としての芸術家」展への出品に際して、同館の保存修復家による調査が行われた。その結果、緑色の塗料は元の朱色(バーミリオン)の層と強く結合しており、当時の技術では除去を試みることは望ましくないと判断された。

現在、この作品はロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)で開催中の展覧会「ヴィレッジ・スクエア:パールマン・コレクションからの近代美術の寄贈品」(7月19日まで)に展示されている。同展では、アメリカの3館に寄贈される作品のうち50点が公開されている。

《テ・ファレ・アム》は現在ブルックリン美術館への貸与という形をとっているが、10月には正式な寄贈へと移行する見込みだ。それに合わせて、LACMAの展覧会は「セザンヌからモディリアーニへ:パールマン・コレクションからの近代美術の寄贈品」と題を改め、ブルックリン美術館へ巡回する(10月2日〜2027年4月18日)。同館の広報担当者は、この機会に問題となっている上塗りの除去について、保存修復チームとともに最新の技術を踏まえて検討する予定だと述べている。(翻訳:編集部)

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