今週末に見たいアートイベントTOP5:「風景画家」モネに迫る没後100年記念展、やんツーが仕組むドローンと投石機の「対話」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

クロード・モネ ―風景への問いかけ(アーティゾン美術館)より、クロード・モネ《かささぎ》1868-69年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Adrien Didierjean / distributed by AMF

1. 特別展 NIGO®と半泥子(ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM)

片身替茶碗
川喜田半泥子作 【後期展示】
萩茶碗 銘 清風
2025年 NIGO®作 【後期展示】
川喜田半泥子 竹茶杓 銘 そだ火 昭和17年 【後期展示】
川喜田半泥子 黄瀬戸茶入 牟田洞窯 昭和17年 【後期展示】

時を超えた感性の共鳴

国際的に活躍するデザイナーのNIGO®は、茶の湯文化を通して陶芸家・川喜田半泥子(1878-1963)の作品と出会い、唯一無二の魅力に惹かれた。その後、廣永窯(仙鶴窯)での作陶経験をきっかけに、近年は各地の窯元を訪れて茶碗づくりに没頭し、2025年に作陶10周年を迎えた。

本展では、NIGO®が蒐集した半泥子の作品55点と、NIGO®自身が制作した茶碗25作品を前後期に分けて一堂に紹介する。後期はNIGO®による新作の萩茶碗《銘 清風》や、半泥子による《片身替茶碗》が展示される。長年にわたり茶の湯の美を追い求めてきた半泥子と、ストリート系ファッションの世界を極め、作陶家としての顔を持つNIGO®の感性が響き合う稀有な展覧会だ。

特別展 NIGO®と半泥子
会期:1月17日(土)〜4月12日(日)前期:~3月1日(日)、後期:3月4日(水)~4月12日(日)
場所:ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM(京都市東山区祇園町南側570-107)
時間:10:00〜18:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝休日の場合は翌日)


2. クロード・モネ ―風景への問いかけ(アーティゾン美術館)

【日本初公開】クロード・モネ《トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル》1870年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Gabriel de Carvalho / distributed by AMF
クロード・モネ《戸外の人物習作-日傘を持つ右向きの女》1886年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵
Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF
クロード・モネ《かささぎ》1868-69年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Adrien Didierjean / distributed by AMF
クロード・モネ《ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光》1904年、油彩・カンヴァス 、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

「風景画家」モネに迫る

2026年は、印象派の巨匠クロード・モネ(1840-1926)の没後100年にあたる。その幕開けを記念する本展は、モネの作品41点を含むオルセー美術館所蔵の約90点に、国内の美術館や個人所蔵作品を加えた合計約140点で「風景画家」としてのモネの魅力に迫る。

展覧会はル・アーヴル、アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユ、ジヴェルニーなど、モネの創作を語る上で重要な場所と時代から、その画業の発展を丹念に辿っていくとともに、同時代の絵画や写真、浮世絵、アール・ヌーヴォーの工芸作品など様々なジャンルの視覚表現と交錯させていく。見どころは、修復作業を経ての初公開となる、オルセー美術館蔵の名作《かささぎ》(1868-69)。モネが描いた当時そのままに蘇った美しい雪の色彩を楽しんでもらいたい。また、現代の映像作家アンジュ・レッチアによるモネへのオマージュとして制作された没入型の映像作品も日本初公開する。

また、4階展示室では「カタリウム」が同時開催されている。思索を深める絵かきのアトリエでの独り言。あるいは、作品の仕上がり具合を目にした人々の感想など、作品を前に展開したであろう語りに耳を傾け、その場をイメージしようと試みる。《洛中洛外図屛風》(17世紀)や《平治物語絵巻 常盤巻》(13世紀)など、国宝2点、重要文化財7点、重要美術品5点を含む合計56点が展示される。

モネ没後100年 クロード・モネ ―風景への問いかけ
会期:2月7日(土)〜5月24日(日)
場所:アーティゾン美術館 6・5階展示室(東京都中央区京橋1-7-2)
時間:10:00〜18:00(3月20日を除く金曜日、5月2日・9日・16日・23日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:3月16日、4月13日、5月11日


3. 特別企画 日韓国交正常化60周年記念「韓国美術の玉手箱―国立中央博物館の所蔵品をむかえて―」(東京国立博物館)

闊衣(背面) 20世紀初 韓国国立中央博物館蔵
観音菩薩坐像 高麗時代・13世紀 韓国国立中央博物館
大方広仏華厳経 巻第十二(部分) 高麗時代・14世紀 韓国国立中央博物館蔵

韓国美術の魅力を再発見

1965年の日韓国交正常化から60年を迎えたことを記念し、東京国立博物館と韓国国立中央博物館が共同開催する特別展。両館は2002に学術交流協定を締結し、以来20年以上にわたって多様な交流を積み重ねてきた。本展はその成果の一つとして、両館が誇る所蔵の名品で韓国美術の精華を紹介する。

展示は第1章「高麗―美と信仰」と第2章「朝鮮王朝の宮廷文化」の二部構成で、計33件が集結する。そのうち韓国国立中央博物館からは、「観音菩薩坐像」(高麗時代・13 世紀)や大方広仏華厳経巻第十二(高麗時代・14 世紀)、朝鮮王朝の宮中女性の礼服「闊衣」(20世紀初頭)などの名品17件が来日し、日本初公開は15件に上る。

特別企画 日韓国交正常化60周年記念「韓国美術の玉手箱―国立中央博物館の所蔵品をむかえて―」
会期:2月10日(火)〜4月5日(日)
場所:東京国立博物館 本館特別1室・特別2室(東京都台東区上野公園13-9)
時間:9:30〜17:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(3月30日を除く)


4. 「Obol」 アンドリウス・アルチュニアン(銀座メゾンエルメス ル・フォーラム)

Andrius Arutiunian | 《Below ( For the Ones That Murmur)》|2024年| 瀝青、タール、鉄、木綿、5チャンネルサウンド |Courtesy of the artist Photo by Dat Bolwerck, Zutphen
Andrius Arutiunian |《Synthetic Exercises》| 2023年 | タール、瀝青、金属、4チャンネルサウンド | サイズ可変 | Courtesy of the artist | Photo by Jonas Balsevicius
Andrius Arutiunian | 《Geryon & Herakles》| 2025年 | ネオン | 60 x 40 cm | Courtesy of the artist |
Photo by Kunstraum Memphis
Andrius Arutiunian | 《Seven Common Ways of Disappearing》| 2022年 | 2チャンネルサウンド、レコードプレイヤー、カスタムメイド・スピーカー、壁面にドローイング | Courtesy of the artist and Pavilion of Armenia, the 59th Venice Art Biennale | Photo by Claudio Fleitas

漆黒の物質から紡がれる冥界の物語

1991年、アルメニア・リトアニア生まれのアーティスト・作曲家、アンドリウス・アルチュニアンの日本初個展。アルチュニアンは「聴く」ことのハイブリッドな形式、ヴァナキュラーな知識、そして現代的な宇宙論を扱っており、催眠的かつ謎めいた形式に関する思索を通して、インスタレーション、映像およびパフォーマンス作品を制作している。第59回ヴェネチア・ビエンナーレ(2022)ではアルメニア・パビリオン代表作家を務め、第15回光州ビエンナーレ、第17回リヨン・ビエンナーレへの参加など精力的な活動を行っている。

エルメス財団がゲスト・キュレーターとしてThe 5th Floorディレクターの岩田智哉を迎え開催する本展は、かつては聖性を付与されながら現代ではコールタールとして世俗的用途に転用されている物質「瀝青」を用いた一連の新作を展示する。極めて粘性が高く漆黒なこの石油由来の物質をイメージの起点に、冥界の渡し守カロンの神話や古代の宗教から語り継がれる神格へのオマージュが捧げられる。

「Obol」 アンドリウス・アルチュニアン
会期:2月20日(金)〜5月31日(日)
場所:銀座メゾンエルメス ル・フォーラム(東京都中央区銀座5-4-1 8・9F)
時間:11:00〜19:00(入場は30分前まで)
休館日:水曜


5. やんツー個展「浮遊する器官」(BUG)

撮影:竹久直樹 | Photo by Naoki Takehisa
撮影:竹久直樹 | Photo by Naoki Takehisa
撮影:竹久直樹 | Photo by Naoki Takehisa

新旧の武器が生み出す対話とは

1984年、神奈川県生まれのアーティスト、やんツーの個展。絵を描く、鑑賞する、作品を設置・撤去するなど美術の制度にまつわる人間特有と思われている行為を機械に代替させるインスタレーション作品で知られるやんツーは、近年はテクノロジーの利便性や合理性の背後に隠蔽される政治性や特権性、暴力といった問題についても考察を深めている。

本展のタイトル「浮遊する器官」とは、本来は「有機的な身体」を基盤としていた「器官」が、テクノロジーとして外部化され、身体から切り離されたまま再配置され得る状態を指す。哲学者ベルナール・スティグレールが提唱した「一般器官学」の概念を下敷きにしたこの展覧会では、天井高7メートル20センチの会場を飛行する、実際に戦地でも使用されているDJI社のAI搭載ドローン「Mavic 3」と原始的な武器であるカタパルト(投石器)が言葉を交わし、その対話の内容に呼応して動作する新作を発表する。両者はそれぞれ異なる立場から意見をぶつけ合い、対話の展開に応じてカタパルトはドローンに物を投げ付ける(上演は1時間に1回の予定)。

やんツー個展「浮遊する器官」
会期:2月25日(水)〜4月5日(日)
場所:BUG(東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー1F)
時間:11:00〜19:00
休館日:火曜

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