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  • 2024.02.07

バンクシーに非難されたGUESSに、再び盗用疑惑。グラフィティアーティストのタグを無断利用か

人気ストリートアーティストのタグを無断利用したとして、アメリカ発の大手アパレルブランド、GUESS(ゲス)が訴えられた。GUESSは2022年にも、バンクシーから作品画像を無断利用したことを糾弾されている。

人気ストリートアーティスト、ショーン・グリフィンのタグ「Nekst」がはっきり確認できるGUESSのTシャツ。Photo: Images Courtesy California Central District Court filings

2人のストリートアーティストのタグを盗用?

パトリック・グリフィンは、GUESSの「グラフィティにインスパイアされた」ラインのアイテムが自身の兄弟で2012年に他界したショーンのタグを盗用しているとして、同ブランドをカリフォルニア州中部地区に提訴した。アート系オンラインメディアのハイパーアレジックが、2月5日にその一報を伝えている。

ショーンは「Nekst」という名で活動し、ニューヨークでのスプレーペイントやインディーズのストリートウェアで少なからず注目を集めた。かつてヒューストン・プレス紙から、「グラフィティ界以外ではほとんど知られていないが、ヒューストンで最も成功したアーティスト」と称されたこともある。

この訴訟で重要なのは、GUESSがショーン・グリフィンの「Nekst」以外にも、デンマークのストリートアーティスト、ロビン・ロンのタグ「Bates」を無断利用したとされている点にある。2者のタグは、カセットテープや道路標識、グラフィティ、スプレーペイント風のGUESSのロゴなど、ストリートウェアでおなじみの図柄を寄せ集めたデザインの一部に使われている。

ハイパーアレジックによると、こうしたストリートウェアを扱う数多くの販売業者の1つで、訴状に名が挙げられているメイシーズは、オンラインショップから当該商品を取り下げたという。とはいえ、Amazonではまだこのラインが販売されており、問題のシャツもネット上で探すことができる。

訴状にはこう書かれている。

「GUESSは、不可解なことに、事前通知も承諾もなく(アーティストの)作品を自社のアパレル製品に利用した。本物のグラフィティスタイルとストリートアートを生み出した原告を利用することで、自分たちのアパレル製品を信頼感のあるものにし、都会的でクールな雰囲気を醸し出そうとする意図があるのは明らかだ」

また、原告側の弁護士ジェフ・グラックは、GUESSによるタグ使用は「実際のタグ、実際のアーティストのサインをそのまま機械的に複製したものだ」とハイパーアレジックの取材に答えている。

バンクシーはGUESSへの抗議で万引きを提案

2022年、世界で最も有名な匿名のストリートアーティスト、バンクシーが自身のインスタグラム上で、GUESSが自分の作品を違法利用していると非難。ロンドンのリージェント・ストリートにあるGUESSの店舗で万引きをするよう1150万人のフォロワーに呼びかけた。投稿はその後削除されたが、そこにはこう書かれていた。

「彼らは無断で私の作品を使用した。これが許されて、なぜ彼らの服に同じことをしてはいけないのか?」

当時GUESSは、問題のカプセルコレクションはバンクシーの作品に「インスパイアされたもの」と発表。しかし実際には、コレクションは「バンクシーのファンに手頃な価格のグラフィティアイテムを提供する」BRANDALISEDとの提携によるもので、GUESSのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、ポール・マルシアーノはプレスリリースでこう述べていた。

「バンクシーのグラフィティには、大衆文化全体に響く驚異的な影響力があります。今回のBRANDALISEDとの新しいカプセルコレクションは、ファッションで感謝の気持ちを表そうというものです」

BRANDALISEDは、花束を投げる男を描いたバンクシーの《Flower Thrower》の画像を用いたグリーティングカードを販売している。欧州連合知的財産庁に、バンクシーが作品の「疑いようのない所有者」ではないと認めさせることに成功したからだ。同様の主張が行われたケースはほかにもあるが、それらは不首尾に終わっている。

しばらく続きそうな今回の訴訟について、原告側弁護士のグラックはハイパーアレジックに対し、この訴訟によってストリートアートコミュニティが行動を起こす可能性があると述べ、「提訴以来、何人かのアーティストが、GUESSのTシャツにグラフィティやタグが使われたと名乗り出ている」と明かした。

US版ARTnewsではGUESSにコメントを要請したが、記事公開時点で回答はない。(翻訳:石井佳子)

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