レーザーマッピング技術でアマゾンの熱帯雨林に隠された古代都市が出現。考古学者を驚かせる大発見
アマゾンの熱帯雨林に分け入って調査を行うことは困難だった。しかし近年のレーザーマッピング技術の発達によって調査が可能となり、このほど古代都市が発見された。1月11日、学術誌サイエンスでその調査結果が発表された。
フランスの国立科学研究センター(CNRS)は考古学者ステファン・ロスタンの指揮の下、30年近くに渡り、エクアドルのウパノ渓谷にあるサンガイとキラモペの集落の発掘調査を行ってきた。これまで中央広場を中心に構成された墳丘や、装飾された陶器、伝統的なトウモロコシ酒のチチャを入れるための大きな水差しなどを発見した。これらを放射性炭素年代測定で調査した結果、紀元前500年から、ローマ帝国とほぼ同時期の300から600年頃まで人々が居住していたことが明らかになった。
調査が大きく進んだのは、2015年、エクアドル国立文化財研究所がこの渓谷の調査を支援してからだ。光によって検知・測距する、Light Detection And Ranging(LiDAR)技術を搭載したセスナ機を飛ばして森にレーザーを照射し、その反射経路を測定したところ、ウパノ渓谷に5つの大きな集落と10の小さな集落跡が見つかったのだ。
集落には、丘陵に作られた段々畑や、長方形の農耕地、排水路、相互に連結された道路、6000の土塁の上に建てられた住居や、儀式用の建造物が作られていた。今回発表した論文の共同執筆者、エクアドル教皇庁立カトリック大学の考古学者フェルナンド・メヒアによると、都市網は、エジプトのギザ台地やメキシコの巨大都市テオティワカンに匹敵する規模だという。
ステファン・ロスタンは、「失われた都市の谷でした。信じられない発見です」とガーディアン紙に感動を語った。今回の発見について、エクセター大学の考古学者、ホセ・イリアルテは、「道路や何千もの土塁を作るために、組織的な労働力と精巧なシステムが必要でした。アマゾンは手つかずの原生林で、少人数しか住んでこなかったと考えられてきましたが、近年の発見によって、複雑な都市が形成されていたことがわかってきました」とコメントした。
この都市の人口について、フランスの国立科学研究センターの共同研究者、アントワーヌ・ドリソンは、ピーク時は1万5000人から3万人だったと推測する。それ以外の都市の規模や、交易ルート、統治機構など、社会の特徴的な尺度については、調査が始まったばかりだ。(翻訳:編集部)
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