ヴェネチア・ビエンナーレにカーボンニュートラル認定! 次なる課題は来場者の移動
2022年に開催されたヴェネチア・ビエンナーレの5つのフェスティバルすべてが、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする、カーボンニュートラルの認定を受けた。
これを受けてヴェネチア・ビエンナーレは、「2021年の第78回ヴェネチア国際映画祭でカーボンニュートラル認証を取得しました。2022年のヴェネチア・ビエンナーレでは、全会場の設営や運営において、より持続可能なモデルを推進し、気候変動と組織ぐるみで戦いました」との声明を発表している。
ヴェネチア・ビエンナーレといえば、2022年で59回目を迎えた「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」が有名だが、同年に演劇、ダンス、音楽、映画などに特化したフェスティバルも開催されていた。
今回、気候変動に関する国際連合枠組条約に認定されているイタリア・ジェノバのRINA社からの認証取得を支えたのは、再生可能エネルギーの使用、展示材料や備品などの削減、再利用、地元産の食材を使ったベジタリアンメニューの充実といった施策だ。加えて、カーボンニュートラルの目標を達成するため、インドとコロンビアの再生可能エネルギープロジェクトを支援するカーボンオフセットクレジット(*1) も購入した。
*1 温室効果ガス削減の実施者に対して、1t-CO2を1単位で購入し、活動を支援することで埋め合わせるシステムのこと。
こうした努力の一方で難題となっているのが、ビエンナーレの一連のイベントに関わる二酸化炭素排出量の中で、最も大きなパートを占める観客の「移動」の問題だ。国際美術展では、トータルで80万枚のチケットが販売され(プレビューの来場者2万2千498人を除く)、2019年と比較して35%増加の成功を収めた。しかし、これらチケット購入者=来場者の半数以上である59%は国外在住。その多くが、移動のために飛行機を使っている。
ビエンナーレは、この膨大な炭素消費量をやむなく受け入れた。エコな旅を実現するために、できることは限られているためだ。
この問題に対してビエンナーレは、「今後も来場者の意識を高めるためのキャンペーンに取り組んでいきたい」と話す。(翻訳:編集部)
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