【2024年アースデイ】ミュージアムグッズ愛好家・大澤夏美が厳選! 環境問題について考えるグッズ5選

4月22日は地球環境について考え、行動するアースデイだ。今年は、アート好きには身近な博物館や美術館のミュージアムグッズで地球環境やサステナブルについて考えてみよう。著書『ミュージアムグッズのチカラ』(国書刊行会)で知られるミュージアムグッズ愛好家、大澤夏美にアースデイにぴったりなグッズを選んでもらった。

山梨県林政部×甲府刑務所×山梨県立美術館×aemono project:森のパレット

1. 富士火山地質図Tシャツ(地質標本館)

富士火山地質図Tシャツ(税込3680円)

地球の営みの美しさをTシャツでアピ―ル

地質標本館では、現在の産総研地質調査総合センターが過去140年をかけて蓄積してきた、地質にまつわる研究成果を中心に展示している。岩石や鉱物、化石などの標本をたっぷり観賞でき、地球の壮大なスケールや最新の地球科学の情報を学ぶことで、私たちの回りの環境への解像度がぐっと上がることだろう。

館内限定販売のグッズの中でも気に入っているのは、2016年に地質調査総合センターより発行された「富士火山地質図(第2版)」がプリントされている「富士火山地質図Tシャツ」。噴火によってできた堆積物が色分けされて描かれており、堆積物が富士山を中心に広がっていることがよくわかる。広大な富士山周辺を丹念に地質調査をしてきた研究成果が表れているのだ。

そして私は「ビジュアルとして地質図はかっこいい!」と思う。中心から外に広がり、裾野あたりで棲み分けるような堆積物の分布。それが複雑な形を生んでいる。自然が生み出した造形の面白さはこれまで多くの人を魅了してきたが、地質図に着目した人はあまりいないのではないか。もっと多くの人に地質図のかっこよさを知ってほしいし、興味を持ってほしい。そんな思いで、夏はこのTシャツを着て、地質図の存在をアピールしていきたい。

地質標本館
住所:茨城県つくば市東1-1-1 
時間: 9:30 ~16:30
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


2. オリジナルミニ平ゴムバッグ(アーティゾン美術館)

オリジナルミニ平ゴムバッグ(税込1540円)

展示室持ち込み用にぴったり!端材を再利用したミニバッグ

アーティゾン美術館のミュージアムショップで着目してほしいのは、商品構成のほとんどをオリジナルグッズで占めているところである。アーティゾン美術館は東洋から西洋の彫刻や絵画などを幅広く所蔵しており、そのバラエティの豊かさをミュージアムグッズでも楽しめる。

その中で今回ご紹介したいのは、ゴム紐の製造を行う株式会社二口製紐が立ち上げたアップサイクルブランド「フタカチ」とのコラボレーショングッズ、「オリジナルミニ平ゴムバッグ」だ。バッグの素材には、平ゴムの製造過程で発生する端材を再利用しているのだが、このような端材は年間6〜7トンも発生するとのことで、ミュージアムグッズから環境問題を考えるきっかけになる。

サイズが小ぶりなので、貴重品を入れて展示室に持ち運ぶのに最適だ。素材はピンバッジなどでデコレーションしても穴が目立ちにくい。もちろんそのピンバッジもミュージアムショップで豊富に取りそろえてあるため、自由にカスタマイズする楽しみもある。展覧会に合わせてデコレーションを変えてもいいかもしれない。

アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
時間: 10:00 ~18:00(祝日以外の金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)展示替え期間、年末年始


3. 山梨県林政部×甲府刑務所×山梨県立美術館×aemono project:森のパレット(山梨県立美術館)

山梨県林政部×甲府刑務所×山梨県立美術館×aemono project:森のパレット(税込2750 円)

地場を愛した画家、ミレーを学んで生まれた皿

山梨県は県土の78%が森林で覆われた自然豊かな土地。この「森のパレット」は、山梨県産の木材を利用した商品として、ふるさと納税の返礼品用として開発されたお皿。水に強く軽い木材であるサワラの木を利用し、甲府刑務所の刑務作業としてひとつひとつ手作りで製造されている。植物油で仕上げの磨きを行うなど天然素材のみを使用した環境に配慮した逸品だ。ジャン=フランソワ・ミレーの作品を多く所蔵する山梨県立美術館がある土地にちなんでパレット型にし、同館の代表的なミレー作品《種をまく人》をもとにした館のロゴをあしらった。

製造にあたり、甲府刑務所の受刑者は、木材やミレーについて学んだという。ミレーはパリ郊外のバルビゾン村で農業従事者や地域の自然を愛し、描いた画家。そんな画家の背景も踏まえると、職と文化と自然とのつながりがより深く見えてくるのではないだろうか。

角形・丸形の2種類があり、いずれも絵画のパレットのように持つことが出来、くぼみにワイングラスを差し込める。さすが山梨、ワインの名産地。デザインの美しさとアイデアが素晴らしい。爽やかな晴天のもとに開催される立食パーティの風景が目に浮かぶ、文化的な豊かさに溢れた空間に欠かせないグッズだ。

山梨県立美術館
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
時間: 9:00 ~17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


4. UP+CIRCLE BAG(豊田市美術館)

UP+CIRCLE BAG(1980~3850円)

展覧会の告知幕をバッグにアップサイクル!

地球環境とアートの関係性を問い直す事例が多く見受けられる昨今、展覧会の什器の再利用やアップサイクルも多く見られるようになった。豊田市美術館の「UP+ CIRCLE BAG」は、美術館の屋外に架けられる展覧会を案内するためのバナー(幕)を再利用。バナーを円形にカットして製作しているのが名前の由来だ。

マチのありなしを選べるトートバッグタイプと、スマホショルダーにもなるミニバッグがあり、2024年4月時点で、2022年の展覧会「機能と装飾のポリフォニー」、2023年の「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」のバナーを再利用した第4弾が販売されている。すべて1点ものなので柄の出方が異なり、現地で手に取って見比べながらお気に入りを探したい。

バッグのデザインは豊田市内で活動する小野デザイン事務所、バナーの洗浄と製作は豊田市内で障がい者就労支援を行うNPO法人まほうのらんぷが手がけている。地域の事業者が地元の美術館と手を組んで開発したミュージアムグッズは、アップサイクルでありながら地産地消の循環ができている。

豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
時間: 10:00 ~17:30(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日は除く)


5. リアル年縞ネクタイ(福井県年縞博物館)

リアル年縞ネクタイ(税込5300円)Photo: Shunta Ishigami

7万年の地球の歴史を語るネクタイ

「年縞」という存在を福井県年縞博物館で初めて知った。年縞は湖などの底に縞模様で積もる湖底堆積物のことで、1年に1層きっちり形成される。各年代ごとの放射性炭素の量が正確にわかるため、年代測定を必要とする考古学や地質学における「世界標準のものさし」になっている。

特に同館の近くにある水月湖は、湖に直接流れ込む河川がなく、湖底に生物がいないので年縞が形成されるのに理想的な環境。乱れなく美しい縞模様が7万年もの間連続しており、これほど長い時間で年縞を維持している例は世界でも他にない。同館には2014年に採取した年縞がステンドグラスで展示されており、7万年分の長さは45mにもなる。アフリカで誕生した我々の祖先であるホモ・サピエンスが、日本列島に到達したのが7〜6万年前。現在に至るまで、人類はどんなふうに歩んできたのか思いを巡らすことができる。

ミュージアムショップで購入できる「リアル年縞ネクタイ」には、年縞の実物写真がプリントされている。一見普通の縞模様。でもよく見るとそこには7万年分の歴史が詰まっている。着用して、人類の悠久の歴史を周りの人たちと共有してみてはいかがだろうか。

福井県年縞博物館
住所:福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
時間: 9:00 ~17:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜(祝日の場合は翌日)

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