世界最古のピラミッドで古代エジプト王子の墓を発見! 2000年後に別人の墓に再利用された痕跡も
エジプトのサッカラで古代エジプト王子の墓が発見され、複数の重要な遺物も出土した。その中には異なる時代のものも含まれており、古代エジプトの埋葬施設が長期間にわたって再利用されていたことを裏付けている。

エジプト・ギザの南西にあるサッカラの墓地で、古代エジプトの第五王朝を築き、紀元前2465年から紀元前2458年まで統治したウセルカフ王の息子であるワセリフ・レの墓が考古学者によって発掘された。
ワセリフ・レの墓は複数の部屋で構成されており、墓には彼の名前と「後継者」といった称号が刻まれていた。また、この墓は高さ4.5メートルほどの擬扉で封鎖されており、扉の前には、赤い大理石で作られた直径約90センチメートルのテーブルが置かれていた。このテーブルには、埋葬時に捧げられた供物が記載されているという。
エジプト観光・遺跡省が4月18日に発表した声明によれば、研究チームは第3王朝ファラオであるジェセルの像、その妻、および10人の娘の像もワセリフ・レの墓から発見したという。これらの像は当初、サッカラにあるジェセルの階段ピラミッドの複合施設内に置かれていたと考えられており、後期王朝時代に王子ワセリフ・レの墓に移されたとされている。
これ以外にも、墓の所有者の名前と称号を象形文字で刻んだ高さ約1.2メートルの黒い花崗岩の像が別の部屋から発見された。刻まれた名前や称号は第26王朝時代のものであり、ワセリフ・レが埋葬されてから約2000年後にもこの墓が使われていたことを示している。
墓の東部にある二つ目の入り口付近では、ファラオ・ネフェリルカレのカルトゥーシュ(王や高官の名前を囲む楕円形の枠)が発見された。また、ドアのまぐさには、ピンクの花崗岩でできた座像13体が確認されている。これらの像の一部は、頭部が他のものより高い位置にあり、墓の所有者の妻を表現していると考えられている。その両側には、頭部のない像が2体配置されている。さらに、これらの像の前方には顔を下にした高さ約1.2メートルの黒い花崗岩の像も発見された。
調査は最高古代遺跡評議会とザヒ・ハワス古代遺跡・文化遺産財団が率いたチームによって行われた。ハワスはエジプトの元古代遺跡大臣であり、著名な考古学者。この調査団は、古王国時代およびその後の時代から重要な遺物を発掘した実績を有している。墓の全貌はまだ明かされておらず、研究チームは引き続き調査を行うという。(翻訳:編集部)
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