エジプトのカルナック神殿で黄金の装飾品が出土。第26王朝初期にさかのぼる重要発見

エジプト・ルクソールのカルナック神殿北西部での発掘作業中に、第26王朝初期(紀元前7世紀)のものと見られる黄金の指輪などの装飾品が見つかった。テーベの三柱神と呼ばれるアメン、ムト、コンスのアミュレット(お守り)も含まれている。

エジプト・ルクソールのカルナック神殿(2012年撮影)。Photo: Courtesy Wikimedia Commons

エジプト・ルクソールのナイル川東岸に位置するカルナック神殿は、最高神アメン・ラーを祭るエジプト最大規模の神殿群で、約20もの神殿や礼拝所などが今に残る。その北西部で発掘作業をしていた考古学研究者たちが、黄金の装飾品を発見した。

数々の驚くべき遺物が発掘された貴重な遺跡でもあるカルナック神殿は、古代エジプトで信仰された宗教に関する多くの考察をもたらしてきた。ここはまた、天地創造が始まり、アメン・ラー神と古代エジプト人が交流した地として、エジプト文化史における重要な位置を占めている。

今回発掘された黄金の装飾品は、第26王朝(紀元前664年 - 紀元前525年)の初期にまでさかのぼるものとされる。出土した場所を覆っていた泥レンガの大規模な建造物は、カルナック神殿をはじめとした宗教施設などの作業所や貯蔵所として使われていたと見られている。

出土品の中には、金やその他の金属で作られた指輪のほか、テーベの三柱神とされるアメン、ムト、コンスのアミュレット(お守り)、神として崇められた動物のアミュレット、金属製のブローチや、金メッキされたビーズなどがあった。これらの宝物は、割れてはいるが原型をとどめた容器の中に隠されていたため、良好な状態が保たれていた。

発掘作業は、エジプト・フランス共同カルナック神殿研究センター(CFEETK)が、エジプトの考古最高評議会(SCA)とフランス国立科学研究センター(CNRS)の協力のもと、共同考古学ミッションの一環として進めている。

SCAのモハメド・イスマイル・ハレド事務局長はエジプトのニュースメディア、アハラムオンラインの取材に応じ、「この発見は、紀元前1千年紀にカルナック神殿がどう発展していったかをさらに明らかにするうえで非常に重要なものです」と述べている。

出土した遺物は記録を取ったうえで修復され、その後ルクソール博物館に展示される予定。また、神殿北側の発掘も続行される。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

あわせて読みたい