高さ2メートル・5トン超のラムセス2世巨像上半部を発見──王都からの移送・再利用の痕跡も

エジプト北東部の遺跡で、古代エジプト屈指のファラオ、ラムセス2世の巨大彫像の一部が見つかった。この発見は、古代における彫像の移送や再利用の実態とともに、彼の強大な勢力を裏付ける手がかりとなりそうだ。

テル・エル=ファラウンで発見された、ラムセス2世の巨大彫像。Photo: Courtesy Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities

エジプト北東部の考古遺跡テル・エル=ファラウンで、エジプトの考古学調査団が高さ約2メートル、重さ5トンを超える古代エジプトラムセス2世の巨大彫像の上半部を発見した。

アフラム・オンラインによると、保存状態は良好とはいえないものの、残存部分の芸術的・様式的特徴から、神殿に安置された3体一組の彫像群の一部であった可能性が示唆されている。

さらに初期調査では、この彫像はもともとテル・エル=ファラウンで制作されたものではないとみられている。ラムセス2世の治世における主要な王都ペル=ラメセスから、古代に「イメト」と呼ばれたこの地へ運ばれ、宗教施設で再利用されたと考えられる。こうした重量物の移送は、この地域が長期にわたり宗教的に重要な地であったことを示している。

この発見について、エジプト考古最高評議会のヒシャム・エル=レイシー事務局長は声明で、「新王国時代における彫像の移動や転用の実態を示す貴重な証拠であり、特に王都と地方都市との関係を理解するうえで重要です」と述べた。

ラムセス2世は、紀元前1279年頃から前1213年頃まで在位した、古代エジプト史上最も強大なファラオの一人とされる。ルクソール近郊には、自身の葬祭のために建てられた砂岩造りの巨大な神殿「ラムセウム」が現存している。

ラムセス2世の巨大彫像はこれまでもたびたび発見されている。2024年には、エジプトとアメリカの合同調査団がエル・アシュムネイン遺跡で高さ約3メートル80センチの彫像の上半部を見つけており、この断片は、1930年にドイツのエジプト学者ギュンター・レーデルが発見した下半部と一致するとみられている。

今回発見された彫像の断片は、発掘後すぐにテル・エル=ファラウンから北へ約16キロに位置する遺跡サン・エル=ハガルの収蔵施設へ移送された。現在、修復担当者が表面の安定化と細部の保存に向けた作業の準備を進めているという。(翻訳:編集部)

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