エジプト観光・考古省の発表によると、アメリカの検察当局の協力で回収に至った36点の貴重な遺物は、エジプト博物館に収蔵されるという。しかし、それがカイロのエジプト考古学博物館なのか、近郊のギザ地区にある大エジプト博物館なのかは明示されていない。大エジプト博物館は約20年の建設期間と1500億円を超える総工費をかけて完成し、11月1日に待望のグランドオープンを迎えたばかり。
エジプトに返還された遺物群は、3つのグループで構成されている。1つは、考古遺物の密輸に関する捜査の中心的な役割を担っているニューヨークのアルヴィン・ブラッグ地方検事から今年5月に引き渡された11点。2つ目はメトロポリタン美術館から回収された25点の希少なコプト語とシリア語の写本、3つ目は最近ニューヨーク州地方検事局から返還されたエジプト第18王朝時代(紀元前16世紀頃)の彩色された石膏のパネルなどだ。
エジプト観光・考古省でメディアアドバイザーを務めるネヴィーン・エル=アレフはCBSニュースの取材に対し、エジプト政府が密輸で流出した全ての遺物を取り戻すための新たな取り組みを進めていることを明らかにした。具体的には、ウェブ上で不法に持ち出された遺物を調査・監視し、その後、各地の当局と連携して回収する。エル=アレフはその意義について次のように述べている。
「エジプトの文化遺産である遺物はどれも大切なもので、たとえ小さな石であっても本来あるべき場所であるエジプトへ返還されることが肝要です。エジプトにとって、考古学的遺産と歴史を守り、次世代に継承することは非常に重要なことです」
以下のギャラリーで、返還された遺物の一部を紹介する。(翻訳:石井佳子)
古代ローマ時代(西暦1世紀頃〜4世紀頃)の彫像の頭部。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
古代エジプト第18王朝時代(紀元前1550年頃〜1292年頃)の石板。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
石灰岩に彫られた古代ローマの墓碑。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
青銅製のしゃがんだ男性の小像。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
ライオンが彫られた青緑色の鉢。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
ひざを曲げて座った人物の小像。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
ハヤブサをかたどったペンダント。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
象嵌細工を施した金属製容器。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
青銅製の羊の像。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
たいまつを持つ男の像。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
紀元前1525年頃〜1492年頃の壁画の一部。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された25点の希少なコプト語・シリア語写本の1つ。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
メトロポリタン美術館から返還された写本。Photo: Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
from ARTnews
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