クレオパトラの墓に新たな手がかりか。水没した港と地下トンネルを発見した研究者は「時間の問題」

エジプト・アレクサンドリア西郊、タップ・オシリス・マグナ神殿遺跡のある海岸部の沖合で、水没した古代の港が見つかった。2022年の地下トンネル発掘に続き、クレオパトラの墓を発見する鍵になるものと考古学者らは見ている。

アレクサンドリアに残るヘレニズム時代の古代墓。Photo: DEA / G. DAGLI ORTI/De Agostini via Getty Images

アレクサンドリアの西にあるタップ・オシリス・マグナ神殿遺跡は、紀元前3世紀にプトレマイオス2世によって建造された。プトレマイオス朝の全盛期、この神殿や周辺の町は交易の主要拠点として賑わい、マレオティス湖の水運や陸路でアレクサンドリアへ向かう物資の運搬が行われていた。

画期的な発見があったのは、地中海と湖に挟まれた場所にあるこの遺跡に近い海の中だ。共同調査を実施しているのは、20年にわたり失われたクレオパトラの墓を探し続けてきた考古学研究者のキャスリーン・マルティネスと、タイタニック号発見に寄与したことで知られる海洋学者のボブ・バラード、水中考古学者らのチームで、タップ・オシリス・マグナ神殿の沖合、水深12メートルの海底に沈んだ港を確認した。

ナショナル・ジオグラフィック誌によると、9月18日にエジプト観光・考古省がこの古代港の発見を明らかにした。それは高さ約6メートルの巨大な建造物で構成され、柱やブロック状の石材、滑らかに磨かれた石の床のほか、多数のアンフォラ(主に液体の運搬に使用された陶器。すぼまった首の両側に取っ手がある)も見つかっている。

これらの遺物は、紀元前51年から紀元前30年までプトレマイオス朝エジプトの統治に携わったクレオパトラ7世の時代にさかのぼるものだ。広く知られているように、古代エジプト最後の女王となった彼女の治世と生涯は、古代ローマによる併合で幕を閉じた。

マルティネスのチームは2022年にも、深さ約13メートル、全長約1300メートルの地下トンネルを発掘している。彼女の仮説では、クレオパトラは死後タップ・オシリス・マグナ神殿に移送されたのち、港に向かう地下トンネルを通って運ばれた先に埋葬されたという。さらに、墓は後世の大地震とそれに伴う海面上昇に見舞われ、地中海沿岸の他の古代建造物と同様に水没したとされる。

クレオパトラの墓の探索についてマルティネスは、「前進を続けます。私にとっては時間の問題です」と語っている。(翻訳:石井佳子)

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