エジプトの古代都市から3人の高級官僚の豪華な墓が出土。碑文が所有者特定の鍵に

エジプト観光・古代史省が、ルクソールのネクロポリスから新王国時代(第18~20王朝時代、紀元前1539年頃から1077年頃)の3人の高級官僚の墓が発見されたと5月26日に発表した。

ネクロポリスから見つかった、ヒエログリフ。Photo: Egypt Ministry of Tourism and Antiquities/AP

エジプトの考古学者によるチームが、古代都市テーベ(現在のルクソール)のナイル川西岸にある重要なネクロポリス(古代共同墓地)、ドラ・アブ・アルナガで3人の高級官僚の墓を発見したと、エジプト観光・古代史省が5月26日に発表した。

CNNの報道によると、考古学者チームはネクロポリス内の墓から状態の良い碑文を発見。そのおかげでその所有者の名前と称号を特定することができたという。エジプトのシェリフ・ファシー観光・古代遺物相はこの発見について、同庁によるinstagram投稿の中で「我が国の考古学的記録への重要な追加」と称えた。

1つめの墓は、第19〜20王朝期と考えられているラメシド時代(紀元前1293年~紀元前1070年頃)の「アメン=エム=イペット」と呼ばれる人物のもので、神々の王として人々が崇めていたアムン神の神殿で働いていたと考えられる。 3つの中で一番豪華だったもののほとんどが破壊されていたこの墓だが、家具を運ぶ人や宴会の場面を描いた壁画は残されていた。アムン神は、後にアムン・ラー(アムンと太陽神ラーの融合神)として広く知られるようになった。

エジプト観光・古代史省が3人の墓の発見を伝えた投稿。

2つめの墓は18王朝時代(紀元前1570年頃 ~紀元前1293年頃)のもので、穀物倉を統括していた「バキ」という人物のものだという。バキの墓は長い回廊を持つ中庭と、正面玄関に続くもう1つの中庭で構成されていた。

最後の墓には、バキと同時代に活躍したと考えられるアメン神殿の監督者であり、北部オアシスの市長、書記でもあった「エス」という人物が葬られていた。エスの墓の中には、井戸のある小さな中庭があり、長いホールで本殿と繋がっていた。

同庁によるinstagramの投稿の中で、エジプト最高考古学評議会の事務局長であるムハンマド・イスマイル・ハレド博士はこの発見について、「現代に連なる歴史の重要な側面を保存する、ザラアブ・アブ・ナガの豊かさと多様性を反映しています」とコメント。現在、3つの墓は学術出版のために碑文と埋葬坑のさらなる洗浄と研究が進められているという。(翻訳:編集部)

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