考古学者が散歩中に「暗号ヒエログリフ」を大発見! ラムセス2世が仕込んだエリートへのプロパガンダ
パリ・コンコルド広場のシンボル、オベリスクに隠された「暗号ヒエログリフ」をパリ在住の考古学者が発見したと発表された。

パリ・コンコルド広場の象徴的存在であるオベリスクに「暗号ヒエログリフ」が隠されていたとパリのソルボンヌ大学講師でエジプト考古学者のジャン=ギヨーム・オレット=ペルティエが発表した。
オベリスクは赤色花崗岩で造られており、高さ22.5メートル、推定重量227トン。およそ3000年前、古代エジプトのファラオ、ラムセス2世が同じ石の塊から作らせた一対のうちの1つで、1830年にエジプト総督ムハンマド=アリーによってフランスに贈られ、1836年にコンコルド広場に設置された。
アートネットが伝えるところによると、パリのエジプト考古学者、ジャン=ギヨーム・オレット=ペルティエはパンデミック期間中、気分転換のために近所を散歩するようになった。散歩コースの中にはコンコルド広場が入っており、彼は毎日オベリスクを眺めていた。ある日、オベリスクのヒエログリフを読んでいる時に、上部にあるいくつかが「暗号ヒエログリフ」なのではないかという疑問が起こった。暗号ヒエログリフは、1950年代にエティエンヌ・ドリオトン神父によって解読されたもので、読む方向を変えるなどのパズルや言葉遊びを含む書き方であり、古代エジプトの知的エリート層だけが識別し理解できるものだった。現在、暗号ヒエログリフを読むことができるエジプト考古学者はごくわずかで、オレット=ペルティエはその1人だった。
その後数日間、彼は双眼鏡とノートを携えてヒエログリフを記録していった。だが、もっと近くで調査しなければこの予測を確信することが出来なかった。すると幸運の女神はオレット=ペルティエに微笑んだ。コンコルド広場が2024年のパリオリンピックの競技会場として使われるにあたり、オベリスクの周囲に高い足場が組まれたのだ。彼はフランスの文化事業部門にオベリスクを調査する許可を求めたところ許可され、難なく詳細な調査を行うことが可能となった。
オレット=ペルティエの予測通り、オベリスクには「暗号ヒエログリフ」が隠されていた。オベリスクに隠された暗号は、ラムセス2世が神々によって選ばれ、アムン・レーとマアトの血統を持つことを主張する内容だった。ラムセスは父セティの死後、比較的遅い25歳で王位に就いた。正当な継承者である長男ではなかったこともあり、統治の初期にはオベリスクを宣伝道具として使い、自らの至高性と神性を強化していった。
パリのオベリスクは、本来エジプトのナイル川河岸に設置されていた。そこは毎年、ルクソール神殿で開催されるオペト祭に向かうためにエリート貴族たちがボートで通る場所であり、4面あるオベリスクの川側の面に暗号ヒエログリフが描かれていた。オレット=ペルティエはアートネットの取材に、「ボートでの接近角度を考えると、貴族たちは隠されたメッセージを読み、『王は神の化身であり、退位させられない』と考えたでしょう。これは非常に高い知的エリートを対象としたプロパガンダだったのです」と話した。
もう一つの暗号化されたメッセージは、砂漠側の面にあった。暗号にはラムセスの王冠に神聖な力を暗示する牛の角が書かれており、それが供物台への言及と組み合わされることで、神々が行う時に破壊的な行動を鎮めるために供物を捧げるよう見る者に指示している。
この研究成果は今年後半にフランスのエジプト学ジャーナル「ENiM」で発表される予定だ。オレット=ペルティエは今回の発見について、「エジプト考古学にはまだ多くの発見が待っていることを証明する一例です」とコメントした。