エジプトで紀元前300年頃の「魚の塩漬け工場」跡を発見。近隣からはローマ時代の墓地も

エジブトの西部ナイル・デルタの2遺跡から、紀元前300年頃の工房群とローマ時代の埋葬施設が見つかった。工房群からは約1万点の魚骨も出土しており、考古学者らは、当時の産業活動と生活実態への理解を深める発見と評価している。

Site of the recent excavation in the western Nile delta. Courtesy Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
エジプト西部ナイル・デルタで行われた今回の発掘調査の現場。Photo: Courtesy Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities

エジプト考古最高評議会とイタリアのパドヴァ大学からなる国際的な考古学チームが、エジプト西部ナイル・デルタ地域で複数の工房遺構と埋葬施設群を発見した。エジプトの日刊紙、アル=アハラムが12月30日に報じた

調査が行われたのは、ベヘイラ県に位置するコム・アル=アフマル(Kom Al-Ahmar)遺跡とコム・ワシット(Kom Wasit)遺跡。近接する両遺跡は、古代には相互に関連した集落や都市空間を形成していたと考えられている。今回見つかった工房群は、紀元前300年頃の初期プトレマイオス朝時代のもので、近隣に位置する墓地はその後のローマ時代に属するという。発見された遺構には、6つの部屋に区切られた大規模な建物跡も含まれている。

考古学者たちは、そのうち2部屋から約1万点におよぶ魚の骨を発見しており、当時重要な産業であった魚の塩漬けの生産施設として使われていたと考えている。さらに、陶片や輸入壺、護符、道具類なども出土していることから、他の部屋では別種の製造活動が行われていたとみている。

また、前述の墓地からは、男女や子ども、青少年あわせて23人分の遺骨が確認された。埋葬方法は多様で、地面に直接埋葬されたもの、陶製の棺に納められたもの、そしてアモルファ(amorpha)と呼ばれる大型の土器に入れられた子どもの埋葬例も認められた。

エジプト考古最高評議会の事務総長、モハメド・イスマイル・ハーレドは、「これらの発見は、居住形態や葬送習慣、工業生産に関する研究を深めるとともに、後期王朝時代からローマ時代、初期イスラム期にかけての地域間の相互作用について、新たな視座を提供する」とコメントしている。

パドヴァ大学のチームは今後、出土した人骨を詳細に分析し、個々人の年齢や食生活、健康状態などについて調査を行う予定。一方、人骨以外の出土品(道具、陶器、装身具など)の多くは、ギザ近郊に最近開館した大エジプト博物館へ移送された。

from ARTnews

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