ルーブル美術館のチケット詐欺、中国人ガイドら9人を摘発。被害額は10年で18億円超

ルーブル美術館で大規模なチケット不正利用が発覚し、中国人のツアーガイドや美術館職員を含む詐欺グループが摘発された。不正は約10年にわたって行われ、被害額は18億円以上にのぼると見られる。

昨秋の宝飾品窃盗事件による閉鎖後、一般公開を再開したルーブル美術館。Photo Mohamad Salaheldin Abdelg Alsayed/Anadolu via Getty Images

パリの検察当局は、ルーブル美術館の大規模なチケット詐欺に関与したとして、2月10日に9人の身柄を拘束したと発表した。同館では、老朽化による漏水や宝飾品窃盗事件などのトラブルが続いているが、この不正によって約10年で1000万ユーロ(18億円超)の損失を被ったと見られている。

また、ユーロニュースの報道によると、当局はヴェルサイユ宮殿でも同様の不正が行われていた疑いがあることに言及したが、詳細については明らかにしなかった。

逮捕された9人には、複数のツアーガイドと2人の美術館職員のほか、首謀者とされる人物1人が含まれる。検察当局はこれまでに、現金95万7000ユーロ(約1億7400万円)以上と6万7000ユーロ(約1200万円)相当の外貨を押収し、48万6000ユーロ(約8800万円)あまりの残高がある銀行口座を差し押さえた。ル・パリジャン紙によれば、車両3台と複数の貸金庫も押収されている。

ルーブル美術館は同紙の取材に対し、「チケット詐欺の再燃と多様化に対応するため、体系的な不正対策を実施」していると説明。「予防的・是正的措置を取り……その結果を注視」しながら対応を進めているという。また、現在進行中の捜査は、「不正防止の一環として美術館が通報し、美術館関係者と警察が連携しながら続けられていた」と付け加えた。

事件の調査が開始されたのは2024年12月。「ルーブル美術館に頻繁に出入りしている2人の中国人観光ガイドが、同じチケットを何度も使い回して中国人団体客らを入場させている」との通報で、内偵が始まった。不正行為の疑いは、ほかのガイドにも広がった。

その後、当局による行動監視と電話傍受により、当該ガイドらがチケットの使い回しをしていたことや、ガイドに課される手数料の支払いを回避する不正を働いていたことが確認された。関与が疑われる2人の美術館職員は、不正を見逃す代わりにガイドらから現金を受け取っていたと見られている。

これを受け、昨年6月には正式な司法捜査が開始された。容疑には、組織的詐欺や資金洗浄、公職者による能動的・受動的な汚職、不法入国・滞在の組織的幇助、偽造行政文書使用などが含まれる。

一連の捜査で、こうした不正行為が約10年にわたって繰り返されていたことも明らかになった。容疑者らは、1日あたり最大20グループを不正に入館させていたとされる。さらに検察当局は、詐欺で得た資金の一部がフランスアラブ首長国連邦ドバイでの不動産投資に使われた疑いがあることも指摘している。

US版ARTnewsは現在、ルーブル美術館にコメントを求めている。(翻訳:石井佳子)

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