トランプ政権、ストーンウォール記念碑からプライド旗を撤去。地元NYで強い反発
トランプ政権の指示により、ニューヨーク市マンハッタンにあるストーンウォール国定記念碑からレインボー・フラッグが撤去された。現代のLGBTQ+権利運動の発祥地での措置に、地元政治家や活動家から強い反発の声が上がっている。

マンハッタンのストーンウォール国定記念碑に設置されているレインボー・フラッグが、トランプ政権が発表した新たな指針に基づいて撤去された。
この記念碑は、現代のLGBTQ+権利運動が広く認知される契機となった場所だ。1969年6月、グリニッジ・ビレッジのゲイバー「ストーンウォール・イン」への警察の強制捜査をきっかけに抗議行動が広がり、「ストーンウォールの反乱」と呼ばれる運動へと発展した。2016年、バラク・オバマ元大統領はストーンウォール・インや隣接する公園を含む一帯を国定記念碑に指定した。
レインボー・フラッグの撤去は、2月9日、ストーンウォール・インの共同オーナーを務めるステイシー・レンツが出勤時に気付いた。記念碑内にある公園からもフラッグが取り外され、何もついていない旗竿だけが並んでいたという。
国立公園局(NPS)の広報担当者は、1月21日に米内務省が発令した指針によって旗を撤去したと発表。この指針では「NPSが管理する旗竿には、アメリカ国旗および、その他の議会または省庁が認可した旗のみを掲揚する」と定められている。また、連邦政府が管理する旗竿は「一般市民による自由な表現の場として機能することを意図していない」と、NPSは声明で述べた。今回の撤去に際してレンツは、ニューヨーク・タイムズ紙にこう語った。
「ストーンウォールからレインボー・フラッグを撤去されたことは、私たちがいまどんな時代を生きているかを物語っています。この旗は単なるシンボルではありません。LGBTQ+の人々の歴史が二度と脇に追いやられることはないと伝える旗なのです」
今回の撤去に対して、ニューヨークの政治家たちも抗議の声を上げている。市長のゾーラン・マムダニは「激怒している」と非難し、ニューヨークはLGBTQ+の権利運動の発祥地であり、歴史を変えたり沈黙させることはできないと強調した。また、自身がゲイであることを公言しているマンハッタン区長、ブラッド・ホイルマン=シガルも、旗の再掲揚を求めるデモを計画していると明らかにし、「この記念碑からレインボー・フラッグを失わせたままにすることは、クィアの活動家たちを裏切ることになる」と述べた。
記念碑におけるレインボー・フラッグの掲揚は、LGBTQ+コミュニティの長年の努力の末に実現したものだった。写真家のスティーブン・ラブ・メネンデスとLGBTQ+活動家のマイケル・ペトレリスたちは、連邦政府によって管理されている公園に旗を恒久的に掲げることを求めて何年も働きかけてきた。
2016年の国定記念碑指定後、第一次トランプ政権下で内務長官を務めたライアン・ジンケは一時、旗の掲揚を認めたが、その方針は撤回された。その後、2022年にバイデン政権が旗の掲揚を正式に承認し、プライド月間初日には連邦政府が管理する旗竿にレインボー・フラッグが掲げられた。記念碑をめぐっては、旗の撤去以外にも政府による措置が取られている。第二次トランプが政権発足すると、NPSのウェブサイトからトランスジェンダーに関する記述が削除され、活動家や歴史家から「歴史の抹消だ」との批判が上がっていた。
今回の旗の撤去は、近年国立公園内で行われてきた展示や表現の見直しの流れの中で起きた。NPSはこの1年で、フィラデルフィアのアメリカ独立国立歴史公園からジョージ・ワシントンの奴隷所有に関する展示を撤去し、マサチューセッツ州ローウェル国立歴史公園では移民や女性繊維労働者に関する映画の上映を中止している。さらに政権は、2025年に国務省を通じて在外公館で米国旗のみを掲揚するよう命じ、レインボー・フラッグを撤去させている。