ソフィア王妃芸術センターでイスラエル国旗を掲げた女性3人に退館要請。欧州ユダヤ人会議は「文化機関内における差別」と批判

2月14日、スペインマドリードソフィア王妃芸術センターで、ダビデの星のネックレスを身に着け、イスラエル国旗を掲げていた高齢女性3人が警備員から退館を求められた。この出来事は、美術館という公共空間における表現の自由と差別の問題をめぐって議論を呼んでいる。

ソフィア王妃芸術センター内に展示されるパブロ・ピカソ《ゲルニカ》(1937)。Photo: Getty Images

2月14日、マドリードソフィア王妃芸術センターで、ダビデの星のネックレスを身に着け、イスラエルの公式旗を掲げていた3人の高齢女性が警備員から退館を求められた。

この件を最初に報じたスペインの保守系メディア、オクディアリオによると、女性たちの姿を見た他の来館者が、彼女らに向けて「大量虐殺者」などの言葉を叫んでいたという。その後、警備員が3人を館内から退去させた。その様子を捉えた約1分半の動画には、女性たちを退館させる手続きが始まる中で、警備員の一人が「一部の来館者が迷惑を被っている」と発言する場面が記録されている。

オクディアリオやイスラエルの保守系メディアYnetnewsは、女性たちはイスラエルからの観光客だったと報じているが、US版ARTnewsは報道内容を独自に確認できなかった。

この出来事を受け、一部のイスラエル政府関係者が声明を発表した。イスラエルの駐スペイン大使であるダナ・エールリッヒはXに、「ダビデの星とイスラエル国旗を身に着けた3人のユダヤ人女性が、それらのシンボルを携えていたという理由でマドリードの美術館から退去させられた様子を目にしました。イスラエル国旗は、ユダヤ民族の何千年にもわたる歴史を象徴しています」と投稿した。

また、欧州ユダヤ人会議はXで、この出来事について「公的な文化機関の内部における差別について重大な懸念を生じさせるものです」と指摘し、「憂慮すべきであり、容認できない」と述べた。この投稿には4000件以上の「いいね」が集まっている。

ソフィア王妃芸術センターの広報担当者はUS版ARTnewsの取材に対し、この件について警備部門に調査を要請したと明らかにした。

さらに美術館は声明を発表し、次のように説明している。

「当館は、平等と信教の自由を重んじ、反ユダヤ主義に関わるあらゆる暴力や差別を一切認めないという立場を明確に表明します。また、当館の職員は、基本的人権やトラブル対応、あらゆる差別の防止について十分な訓練を受けています。改めて強調したいのは、ユダヤ人の芸術家や後援者、支援者が当館およびそのコレクションにとって果たしてきた重要な役割です。とりわけ前衛芸術の分野において、その献身的な協力がなければ、今日私たちが知るこの美術館の姿は実現しなかったでしょう」

ソフィア王妃芸術センターは、パブロ・ピカソの《ゲルニカ》(1937)を所蔵・展示することで知られるスペイン有数の国立美術館で、近現代美術の充実したコレクションを誇る。

現在、女性たちの身元や、なぜ館内でイスラエル国旗を掲げていたのかは明らかになっていない。一方で、同館が親イスラエル派から批判を受けるのは今回が初めてではない。2024年には、「川から海へ(From the River to the Sea)」と題した講演・イベントのプログラムを企画したことで物議を醸した。この題名は、パレスチナ人の平等な権利を求める一部の抗議者が用いるスローガンにちなんだもので、イスラエルの美術館協会はこれを反ユダヤ的だと批判。タイトルは「批判的思考の集い(Critical Thinking Gatherings)」へと変更された。(翻訳:編集部)

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