「マレーシアのバンクシー」が航空会社を提訴。作品を機体などに繰り返し無断使用か
「マレーシアのバンクシー」とも称されるストリートアーティスト、アーネスト・ザカレヴィッチが、自身の壁画が許可なくエアアジア機の機体デザインなどに使用されてきたとして、エアアジアおよび親会社のキャピタルAベルハドを提訴した。
マレーシアを拠点に活動するストリートアーティスト、アーネスト・ザカレヴィッチが、自身の代表作が許可なくエアアジアの機体デザインに使用されたとして、エアアジアおよびその親会社キャピタルAベルハドを提訴した。BBCが報じている。
ザカレヴィッチは1986年リトアニア生まれ。現在はマレーシア・ペナンを拠点に活動している。活動初期はグラフィティに傾倒したが、その後アートスクールで学び、壁面とオブジェを組み合わせる独自のスタイルを確立した。街角に物語性のある作品を残すその手法から「マレーシアのバンクシー」と称されることもある。現在、マレーシアには約20点の作品が現存するとされ、国内外から多くの観光客を引き寄せている。
問題となっているのは、ジョージタウン歴史地区で2012年に制作された代表作《Kids on Bicycle》だ。壁に立てかけられた本物の自転車と一体化するかのように、自転車乗りに興じる2人の子どもを描いたこの壁画作品は、ペナンを象徴するストリートアートとして広く知られている。

ザカレヴィッチによれば、この《Kids on Bicycle》が2024年後半、エアアジアが運航する航空機の特別塗装(リバリー)の一部として、同意や許可、ライセンス契約のないまま複製・使用されたという。彼が公に懸念を表明した後、当該デザインは機体から消去されたという。
その後、同社との協議が行われたものの、現在まで双方が合意できる条件には至っていないという。さらにザカレヴィッチは、今回の件が初めてではなく過去10年にわたり、エアアジアの格安航空券や無料座席キャンペーン、フードサービス関連のプロモーションなどにおいても、自身の作品が無断で使用されてきたと非難している。
訴状によれば、ザカレヴィッチは自身が当該作品の作者であることを正式に確認する判決(確認判決)を求めるとともに、今後の無断使用の差し止め、侵害物の撤去および廃棄、さらに適切な金銭的賠償を請求している。
一連の無断使用について、ザカレヴィッチはインスタグラムに次のように投稿している。
「このようなことが繰り返されるのは、芸術家の作品が何の責任も問われることなく利用され得るという有害な前例を作るものです。これは私一人の問題ではなく、芸術界全体に関わる問題です」
マレーシアのエアアジアは、200機以上の航空機を保有し、100以上の都市に就航するアジア最大級の格安航空会社だ。2月11日には、クアラルンプールからバーレーン経由でロンドンへ向かう路線の再開計画も発表しており、10年以上ぶりにイギリスへの復帰を果たす。