ポケモン「リザードン」にそっくりなチートスがオークションで1290万円に! 「2つの巨大ファンダム融合の結果」
ポケモンの「リザードン」そっくりな形のスナック菓子「チートス」が、オークションで8万7840ドル(約1290万円)という驚きの値段で落札された。

ポケモンの中でも特に人気が高い、炎を吐くドラゴンタイプのモンスター「Charizard(リザードン)」そっくりな形のチートス、通称「Cheetozard」が、アメリカのオークションサイト、ゴールディンで2月10日から3月2日まで行われたオンラインオークションで8万7840ドル(約1290万円)で落札された。
アートネットの報道によると、Cheetozardは全長約7.6センチで、特注のポケモンカードにカプセル封入された上、保護ケースに入れられて出品された。オークション開始価格の250ドル(約3万6000円)はすぐに上昇し、60件にものぼる熱烈な入札合戦を経て、7万2000ドル(約1057万円、手数料込みで8万7840ドル)に達した。落札者は明かされていない。
もともとCheetozardは、スポーツ関連のコレクティブルアイテムを扱う1st and Goal Collectiblesのオーナー、ポール・バートレットが所有していた。バートレットは2019年、eBayでCheetozardが500ドル(現在の為替で約7万円)で出品されているのを見かけ、350ドル(同・約5万円)に値切って購入した。プラスチックケースに入ったスナックを受け取った後、バートレットはそれを金庫にしまい、すっかり忘れてしまった。

Cheetozardの存在を思い出したのは2024年になってからだった。Cheetozardの写真をインスタグラムに投稿したところ一夜にして世界中に拡散され、価値のあるものだと認識。そこでバートレットはコレクターアイテムを扱う複数の企業に連絡し、Cheetozardの特注ケースを製造できないか問い合わせた。だが、どの企業も「カプセル封入するとチートスを壊してしまうだろう」と断った。だが、友人のジョーダン・トカチクはリスクを負ってCheetozardのカプセル封入に挑んだ。Cheetozardの写真をコンピューター制御の設計プログラムに入力し、スナックがぴったり収まる容器のテンプレートを作成することに成功した。トカチクはニューヨーク・タイムズの取材に対して、「私は、それができるかどうか確かめることを自分の使命のように感じていました」と振り返った。
バートレットはCheetozardをコレクタブル・コンベンションに持ち込み、トレーディングカードのオンラインマーケットプレイスであるアリーナ・クラブに1万ドル(約146万円)で売却した。アリーナ・クラブはそれを250ドル(約4万円)のミステリーパックの当たり賞品として封入。その当選者が今回の出品者と考えられる。
このニュースについて、チートスを製造・販売するペプシコ・フーズUSのマーケティング担当上級副社長であるティナ・マハルはCNNに、「チートスはひとつひとつ丁寧に作られ、ユニークなデザインが施されています。Cheetozardも例外ではありません。袋の中に入っている楽しい形や様々なサイズをファンが探すのは、昔からの伝統です。私たちはいつも、彼らが何を見つけるのかを見るのが大好きです」と語った。
チートスには、実に様々な形があることは周知の事実で、 10年以上前から「なにかの形」に見えるチートスを撮影した写真を投稿するインスタグラムの専用アカウントまで存在している。だがそれらはほぼオークションにかけられることはない。Cheetozardの唯一の前例として、2017年に、飼育係に殺された悲運のゴリラ、ハランベの形をしたチートスがeBayに出品され、10万ドル(約1470万円)近くで落札されている。
チートスは国民的スナックという知名度がある上に、インターネット上では、例えばオンラインで活動するアーティストSunday Nobodyが2021年、1万年後に開けるタイムカプセルにチートスを入れるなど、皮肉と愛情を持って絶大な支持を得ている。Cheetozardの基となった「リザードン」は、ポケモンで長らく人気を誇る最強のキャラクターの1つであり、入札者は懐かしさも加わって、金に糸目をつけない入札合戦を繰り広げた可能性が高いという分析もある。
ゴールディンの委託販売部門の責任者であるデイブ・アマーマンは、トゥデイにこう語った。
「このCheetozardがこれほどまでに楽しく、ユニークである理由のひとつは、ポケモンとチートスの2つのファンダムを結びつけていることです」