今週末に見たいアートイベントTOP5:ジェフ・クーンズ国内初個展、ウルス・フィッシャーが挑む時間の可視化

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ウルス・フィッシャー「間違い探し - Spot the Difference 」(ファーガス・マカフリー東京)より、展示風景。Photo: Ryuichi Maruo

1. ジェフ・クーンズ「PAINTINGS AND BANALITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)

Photo: © Jeff Koons / Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris / Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton Jeremie Souteyrat
Photo: © Jeff Koons / Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris / Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton Jeremie Souteyrat
Photo: © Jeff Koons / Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris / Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton Jeremie Souteyrat
Photo: © Jeff Koons / Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris / Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton Jeremie Souteyrat

消費社会と美術史を横断するクーンズ初期作も

アメリカの現代美術を代表する作家、ジェフ・クーンズの展覧会。1980年代以降、家庭用品や広告、子ども向けの図像、美術史的モチーフを横断しながら、ハイカルチャーと大衆文化の境界を問い続けてきたクーンズは、工業製品や消費財を作品へと昇華させる手法で独自の地位を築いてきた。とりわけ1980年代半ばの初期作品群や、ポップで挑発的な「Banality」シリーズは、現代美術の文脈を更新するものとして広く知られている。

本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから彫刻と絵画あわせて7作品を紹介する。《Three Ball 50/50 Tank》(1985)をはじめ、「Banality」シリーズの代表作や、「Hulk Elvis」シリーズの絵画など、キャリアを横断する作品が並ぶ。鏡面の彫刻《Little Girl》(1988)に映り込む鑑賞者の存在は、作品の成立に不可欠な要素となり、見る行為そのものを問い返す体験へと接続される。

ジェフ・クーンズ「PAINTINGS AND BANALITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」
会期:2月20日(金)〜7月5日(日)
場所:エスパス ルイ・ヴィトン大阪(大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F)
時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じる


2. ウルス・フィッシャー「間違い探し - Spot the Difference 」(ファーガス・マカフリー東京)

展示風景。Photo: Ryuichi Maruo
展示風景。
展示風景。Photo: Ryuichi Maruo
展示風景。Photo: Ryuichi Maruo

時性と永続性のあいだで揺らぐ彫刻

スイス出身のアーティスト、ウルス・フィッシャーの東京初個展。ユーモアや不条理を軽やかに織り込みながら、彫刻や絵画の本質を問い直してきたフィッシャーは、ハイカルチャーとキッチュ、真実と虚構といった対立を横断し、観る者の知覚を揺さぶる作品で知られる。本展のタイトルは「間違い探し」という遊びに由来し、素材の差異によって時間の感覚を可視化する。

会場には多様な彫刻やインスタレーションが展開される中、見どころのひとつが蝋によるセルフポートレート《Mirror》だ。作家自身をかたどった一対の像は展示初日に点火され、時間とともに溶け崩れ、床に蝋が蓄積していく。そして地下のスペースでは、壁や床の痕跡を転写したインスタレーションと彫刻が交錯し、現実と複製の境界が揺らぐ。建築そのものを巻き込んだ構成によって、「見ること」の不確かさを体感させる展示となっている。

ウルス・フィッシャー「間違い探し- Spot the Differencei」
会期:4月11日(土)〜7月4日(土)
場所:ファーガス・マカフリー東京(東京都港区北青山3-5-9)
時間:11:00〜19:00
休館日:日月祝


3. 松田将英「非道 | Ateleology」(hakari contemporary)

展示風景。
松田の新刊『松田流藝術叢書』。
hakari contemporary外観。

制度をすり抜けるアートの回路

デジタル文化に由来する記号やインターフェースを、彫刻やインスタレーションへと変換するアーティスト松田将英による個展。作者性や流通の構造を問い直してきた松田は、情報と物質、制度と日常のあいだに生じるずれを主題とし、独自の実践を展開してきた。2016年にはPrix Ars Electronica 準グランプリ(Digital Communities)、2024年にはCurrents Art Award 2024優秀賞を受賞した。

本展は、書籍『松田流藝術叢書』の刊行を契機に、その内容を空間へと拡張する試みだ。あらかじめ与えられた目的や正しい経路に従うのではなく、その外側に別の生成や価値の回路を見出そうとする「非道」という概念のもと、目的や正解に回収されない思考の経路を提示し、展示と流通、鑑賞と所有の境界を揺るがす。到達を前提とせず、完成を保証せず、進歩を義務としないという姿勢は、意味を固定しないための実践であり、制度を疑いながら仮説するための方法論として立ち上がる。

松田将英「非道 | Ateleology」
会期:4月18日(土)〜5月17日(日)
場所:hakari contemporary(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町140 ポルトド岡崎103)
時間:12:00〜18:00
休館日:月曜


4. ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界(サントリー美術館)

地獄太夫と一休 河鍋暁斎 一幅 明治4~22年(1871-89) イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard 【通期展示】
猫又図 河鍋暁斎 一幅 明治4~22年(1871-89) イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard 【通期展示】
三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪 河鍋暁斎 一葉 明治4~12年(1871-79) イスラエル・ゴールドマン・コレクション 写真協力:立命館大学アート・リサーチセンター 【通期展示】

越境する絵師、河鍋暁斎の全貌

幕末から明治にかけて活躍した絵師、河鍋暁斎(1831-89)の創作に焦点を当てる。浮世絵師・歌川国芳に学び、狩野派で技術を磨いた暁斎は、諧謔と緻密さを併せ持つ独自の画風を確立し、神仏画から妖怪画、戯画まで幅広い主題を手がけた。海外のコレクターや知識人にも影響を与え、日本美術の国際的評価にも寄与した。

本展では、世界有数の暁斎コレクションとして知られるイギリス在住のイスラエル・ゴールドマンの所蔵品から約110件を紹介。肉筆画、版画、下絵、絵日記など多様な作品を通じて、その創作の広がりを辿る。半数以上が日本初出品となり、第一級の摺と保存状態の版画なども含まれる点は特筆に値する。6章構成の展示によって、暁斎の表現の射程と魅力を体系的に体感できる機会となる。会期中展示替えあり。

ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界
会期:4月22日(水)〜6月21日(日)
場所:サントリー美術館(東京都港区赤坂9丁目7-4)
時間:10:00〜18:00 (金曜、6月20日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:火曜


5. KIM YEONG JUN × YOSHIDA YUNI PHOTO EXHIBITION“Face to face”(麻布台ヒルズギャラリー)

俳優たちの内面を「花」で可視化する

フォトグラファーのキム・ヨンジュンとアートディレクター吉田ユニによるコラボレーション展。ソウル生まれのキム・ヨンジュンは、「Vogue」「Harper’s Bazaar」「ELLE」などの主要マガジンや、BTS、TWICE、Stray Kidsのアルバムジャケット、映画ポスターを手がけてきた。一方、吉田は女子美術大学卒業後に独立し、ドラマポスターやVaundy、木村カエラのCDアートワークなどを手がけ、2023年にはソウル美術館での個展「Alchemy」も大きな反響を呼んだ。

本展では、日韓の俳優62人を被写体に、「花」をモチーフとして撮り下ろした全124点を展示。それぞれの人物が持つ存在感や内面を、写真とビジュアルディレクションの相互作用によって立ち上げる。単なるポートレートにとどまらず、個々の存在そのものをイメージとして結晶化させた空間が広がる。

KIM YEONG JUN × YOSHIDA YUNI PHOTO EXHIBITION“Face to face”
会期:4月29日(水祝)〜5月28日(木)
場所:麻布台ヒルズギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズガーデンプラザA MB階)
時間:11:00〜21:00
休館日:なし

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