ヴェネチアで必見の展覧会10選。マリーナ・アブラモヴィッチ、ジェニー・サヴィル、リチャード・プリンス、李禹煥 etc.

5月9日、第61回ヴェネチア・ビエンナーレが開幕する(11月22日まで)。会期中はビエンナーレ以外にもヴェネチア各所でさまざまな展覧会が開催され、街全体がアート一色に染まる。本記事では、その中から編集部が注目する10の展覧会を紹介する。

ヴェネチアのサンマルコ広場。Photo: Getty images

1. 「Jenny Saville(ジェニー・サヴィル個展)」「Hernan Bas. The Visitors(へルナン・バス:ザ・ビジターズ)」/カ・ペサロ

Jenny Saville展展示風景。Photo: Instagram/visitmuve
Hernan Bas. The Visitors展展示風景。Photo: Instagram/visitmuve

人間の姿をありのままに描き続けるイギリスの画家、ジェニー・サヴィル。彼女の初期から現在まで30点以上の絵画とドローイングを通じて、数十年に渡るキャリアを振り返る。展覧会の最後の部屋では、ヴェネチアへのオマージュとしてサヴィルが制作した、未公開の連作が展示される。同館では、5月7日から1978年マイアミ生まれのへルナン・バスの個展も開催。ヴェネチアでのレジデンス経験を経て生み出した、没入型のインスタレーションなど30点以上の新作を発表する。

Jenny Saville
会期:2026年3月28日(土)~11月22日(日)
Hernan Bas. The Visitors
会期:2026年5月7日(木)~8月30日(日)

2. 「Michael Armitage. The Promise of Change(マイケル・アーミテージ:ザ・プロミス・オブ・チェンジ)」/パラッツォ・グラッシ

ピノー・コレクションによる展覧会。1984年ナイロビ生まれのアーティスト、マイケル・アーミテージの創作に焦点を当てる。アーミテージは社会政治的緊張、暴力、そして世界的な移民危機など、現代の諸問題に向き合い作品を制作してきた。アーミテージの絵画には、ウガンダやインドネシアの伝統に由来する樹皮布「ルブゴ」が用いられる。本展では、新作を含む45点の絵画と、100点を超える習作を展示する。

Michael Armitage. The Promise of Change
会期:2026年3月29日(日)~2027年1月10日(日)

3. 「The Only True Protest Is Beauty(唯一の真の抗議は、美である)」/パラッツォ・ピサーニ・モレッタ

フォンダツィオーネ・ドリス・ヴァン・ノッテン主催のグループ展。活動家フィル・オックスの言葉に着想を得た本展は、美を激しさや挑発、変容を促す力として捉え直そうと試みる。ファッション、ジュエリー、デザイン、アート、写真、ガラス、陶芸など多様な分野の作家が参加し、領域を越えて作品同士が呼応。既成概念に挑みながら、ものづくりの根源にある人間的な側面を浮かび上がらせる。三嶋りつ惠桑田卓郎のほか、パリ拠点のKaori Kurihara、国際的に活動するKatsuyo Aokiらが名を連ねる。

The Only True Protest Is Beauty
会期:2026年4月25日(土)~10月4日(日)

4. 「Anish Kapoor(アニッシュ・カプーア個展)」/パラッツォ・マンフリン

パラッツォ・マンフリン。Photo: Wikimedia Commons

会場は、アニッシュ・カプーアが自身の財団拠点として2018年に取得したパラッツォ・マンフリン。16世紀前半に建てられたこの邸宅の一般公開は今回が2度目となる。本展では、過去50年の活動における実現・未実現プロジェクトを記録した建築模型約100点に加え、大型インスタレーションやステンレス鋼作品を展示。代表作《At the Edge of the World》(1998)は内部を黒く塗装した新バージョンとして再制作される。また、同じく代表作の《Descent into Limbo》(1992)も新たに制作され、会期後は恒久設置される予定だ。

Anish Kapoor
会期:2026年5月6日(水)~8月8日(水)

5. 「Sanya Kantarovsky(サニャ・カンタロフスキー個展)」/パラッツォ・ロレダン

1982年モスクワ生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動するサニャ・カンタロフスキーの個展。精神性や疎外、脆弱性といったヒューマニズムや美術史に根ざしたテーマを探求しつつ、どこかユーモアを感じさせる作品で知られる。本展では、新作の絵画や陶芸に加え、ムラーノのガラス工房との協働による彫刻作品も紹介される。

Sanya Kantarovsky
会期:2026年5月6日(水)~11月22日(日)

6. 「Marina Abramović: Transforming Energy(マリーナ・アブラモヴィッチ:トランスフォーミング・エナジー)」/アカデミア美術館

上海現代美術館(MAM)の芸術監督であるシャイ・バイテルが、マリーナ・アブラモヴィッチと緊密に連携してキュレーションを担当する本展は、同館の常設展示室と特別展示スペースにわたって展開される。これは同館の歴史上初めての試みだ。タイトルにある「トランスフォーミング・エナジー」の核心は、過去と現在、物質と非物質、肉体と精神の出会いにある。来場者は、石のベッドや水晶が埋め込まれた構造物といった一連のインタラクティブな「トランジトリー・オブジェクト」の上に横たわり、座り、あるいは立ち、アブラモヴィッチが「エネルギーの伝達」と呼ぶものを活性化させる体験へと誘われる。そのほか、《リズム0》(1974)《バルカン・バロック》(1977)《キャリング・ザ・スケルトン》(2008)といった代表作も展示される。

Marina Abramović: Transforming Energy
会期:2026年5月6日(水)~10月19日(月)

7. 「Amoako Boafo: It doesn’t have to always make sense(アモアコ・ボアフォ:必ずしも理にかなっている必要はない)」/グリマーニ宮殿博物館

1984年生まれのアモアコ・ボアフォは、ガーナのグレーター・アクラ州オスで生まれ育った。フィンガーペインティングによる独自の肖像表現で、活動初期から高い評価を得てきた。イタリア初の個展となる本展では、新作および近作シリーズを紹介。その多くは、会場であるヴェネチア・ラグーナ国立考古学博物館群の建築の特徴や歴史的背景に着想を得ている。

Amoako Boafo: It doesn’t have to always make sense
会期:2026年5月6日(水)~11月22日(日)

8. 「Helter Skelter:Arthur Jafa and Richard Prince(ヘルター・スケルター:アーサー・ジャファ&リチャード・プリンス)」/カ・コルナー・デッラ・レジーナ

1949年生まれのリチャード・プリンスと、1960年生まれのアーサー・ジャファによる二人展。10歳の年齢差を持つ両者は、映画やパルプ小説、コミック、SF、レコードジャケット、ソーシャルメディアなどから抽出したイメージを取り込み、再構成する制作手法を共有している。本展では、写真、映像、インスタレーション、彫刻、絵画など50点以上の作品を展示。さらに、制作過程で交換された画像を収めた共同制作のジンも公開される。

Helter Skelter:Arthur Jafa and Richard Prince
会期:2026年5月9日(土)~11月23日(月)

9. 「Barry Ball:The Shape of Time(バリー・ボール:ザ・シェイプ・オブ・タイム)」/サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂

バリー・ボールは、3次元デジタルスキャンやプリント、バーチャルモデリングといった最先端技術と、手彫りや研磨などの伝統的技法を融合させた彫刻で知られる。本展は歴史的な教会を舞台に、大理石や金属に内在する可能性への探求から生まれた23作品を紹介する。

Barry X Ball:The Shape of Time
会期:2026年5月9日(土)~11月22日(日)

10. 「Lee Ufan(李禹煥個展)」/サン・マルコ・アート・センター(SMAC)ヴェネチア

李禹煥の大規模個展。本展は、李と密に連携を取りながら創り出された。サン・マルコ・アート・センター(SMAC)ヴェネチアの8つの展示室全てを使い、過去作の絵画から新作の大規模なインスタレーションまで、彼の約70年にわたる創作の展開をたどる。

Lee Ufan
会期:2026年5月9日(土)~11月22日(日)

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