トルコ考古学遺産「第二のカッパドキア」をカフェに無断改装!? 古代の石に電気配線、墓でコーヒー
トルコのアフィヨンカラヒサル県にある3000年前の岩窟墓が無許可でカフェレストランに改築されていたことが分かった。「第二のカッパドキア」とも呼ばれるこの遺跡はユネスコ世界遺産暫定リストに登録されており、地元の考古学者たちは激しく非難している。

トルコ・アフィヨンカラヒサル県のフリュギア渓谷にある3000年前の岩窟墓が国の了承を得ずにカフェレストランに改築されていたとトルコ・トゥデイが報じた。
岩窟墓はフリュギア王国時代(紀元前12世紀頃~紀元前7世紀頃)のものであり、ユネスコ世界遺産暫定リストに登録されているほか、トルコの登録考古学遺産として、文化遺産保護を監督する国の機関である地域保存評議会の保護下にある。
この件を最初に報じたフリエット紙によると、「タシュ・バフチェ(石の庭)」という名前で営業するこのカフェは、岩窟墓の内部に釘を打ち付け装飾品を飾ったり、古代の石に直接電気配線を設置するなどしていた。また、墓室には冬の冷気避けの透明の扉や煙突付きの薪または石炭ストーブが設置されており、訪問者を呼び込むために外にブランコまで置かれていたという。

もちろんこの改築は地域保存評議会の了承を得られておらず、カフェ側は、改造した内部の写真と動画を「石の部屋の栄光」というキャプション付きでSNSに堂々と投稿していた。
この改築に対して、トルコの考古学者たちは激怒している。アクデニズ大学考古学部のネヴザト・チェヴィク教授は、「登録記念物の隣に椅子1脚置くにも許可が必要です。まして、それをカフェに改造するなど論外です」と厳しく非難。トルコの最も著名な考古学者の1人であるハヴヴァ・イシュカン教授も、「これらは当時の人々にとって精神的に重要な意味を持つ埋葬室です。私たちは残念ながら、それらを遊園地に変えてしまった。彼らは電気を引くために岩に穴まで開けました。恐らく墓の中でお茶やコーヒーを作っているのではないでしょうか」と怒りを露わにした。
改築の件が拡散されてすぐ、トルコの文化観光省は調査を開始した。文化財・博物館総局のビロル・インジェジコズ局長は、この遺跡が私有地内にあるものの、考古学的重要性により公式な文化保護の対象となっており、許可なく改築されたことを改めて確認。その後、アフィヨンカラヒサルの博物館の職員らによって、墓の全ての絨毯とソファが取り出され、電気配線は撤去された。
カフェの経営者であるハリル・チャクマクは、すでに当局に使用許可を申請しており、回答を待っている状態だったと主張。その上で、「私たちは悪意で行動していたわけではありません。ただ地域の発展に貢献したかっただけです」と弁明した。チャクマクは今後も墓の区域外で営業を続けるつもりだという。