キム・カーダシアン、誤情報の拡散をめぐる訴訟でドナルド・ジャッド財団と和解

キム・カーダシアンが「ドナルド・ジャッドのテーブル」として紹介した家具が偽物だったとして、ドナルド・ジャッド財団はカーダシアンと家具を制作したデザイン会社を提訴していたが、6月初めに和解に達した。これにより、カーダシアンは本物の家具をドナルド・ジャッド・ファニチャーから受け取るという。

ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のガラに登場したキム・カーダシアン。Photo: Taylor HillGetty Images
ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のガラに登場したキム・カーダシアン。Photo: Taylor HillGetty Images

2024年3月にドナルド・ジャッド財団によって提訴されていたキム・カーダシアンとクレメンツ・デザインが6月初めに和解に達していたことが明らかになった

この訴訟の発端は、カーダシアンが2022年に投稿した1本の動画(現在は削除済み)だった。360万回以上再生されたこの動画で彼女は、自身が経営するアパレルブランド、スキムズ・バイ・キムのオフィス・ツアーを行っており、「ドナルド・ジャッドのテーブル」と呼ぶ家具を紹介していた。動画に登場したダイニングセットはジャッドのラ・マンサナ・テーブル22チェア84と酷似していたがクレメンツ・デザインが制作したものであり、誤情報を広めているとしてドナルド・ジャッド財団はカーダシアンとクレメンツ・デザインを提訴していた。

そして今回、ジャッド財団とクレメンツ・デザインは共同声明を発表し、「ドナルド・ジャッドが手がけた家具と芸術作品の権利を尊重する」ことに合意。さらに、カーダシアンは今後「ドナルド・ジャッド・ファニチャーから本物のダイニングセットを受け取る」と発表している。

訴訟に発展する以前、ジャッド財団は動画の削除、家具の「リサイクル」(つまりは破棄)、そしてカーダシアンによる公式声明の発表を要請していた。また、財団の代理人であるメーガン・バニガンは、ニューヨーク・タイムズ紙に「キム・カーダシアンと関わりたくありません。彼女の活動は尊重しますが、この件に巻き込まれたくはありません」と語っていたため、今回の合意は意外な展開と言える。今回の結果についてジャッド財団とクレメンツ・デザインは「満足している」ようだ。

カーダシアンがアート関連で話題になったのは今回が初めてではない。彼女のコレクションには、490万ドル(当時の為替で約7億5000万円)のジャン=ミシェル・バスキアの作品や、ジョージ・コンドの作品がある。また、過去にはマリリン・モンローのドレスをリメイクしてメット・ガラに出席しており、物議を醸したこともあった

一方、ジャッド作品の価値を保護する動きは他にもある。6月中旬には、テキサス州内の保護区域を管理する団体「テキサス州歴史委員会」が、ジャッドによって改装された15の建物群と1つの大規模インスタレーションを、歴史ある文化サイトに保護的地位を与える国家登録簿に追加したことを発表している。これらはすべて、1973年からジャッドが亡くなる1994年までの間に改修、あるいは制作された作品群だ。(翻訳:編集部)

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