ドナルド・ジャッド作品が米歴史遺産に登録。20年間に及んだテキサス州マーファでの創作活動を評価
テキサス州歴史委員会は、ミニマリズムの先駆的存在であるドナルド・ジャッドがテキサス州マーファで手がけた作品群が米国家歴史登録簿に追加されたと発表した。元陸軍基地を転用した15の建物群が保護対象となる。

テキサス州内の保護区域を管理する団体「テキサス州歴史委員会(THC)」は、ミニマリズムアートを手がけるドナルド・ジャッドによって用途が転用された一連の建物群が、歴史ある文化サイトに保護的地位を与える国家登録簿に追加されたことを発表した。これらの建物は現在、2つのアーティスト財団によって管理されている。
これにより、テキサス州マーファに展示されているジャッドの作品が、将来的に保存活動の対象となる権利を得た。
この複合施設が米国立公園局から2025年5月に認定を得たことにより、テキサス州委員会が昨秋に提出した申請の一部が実現した。この申請は、既存の軍事地区の登録区域を拡張して、隣接するジャッド財団の建物群も保護対象に含めることを目的としている。
これにより、フォート・D.A.・ラッセル歴史保護地区と呼ばれていた区域にジャッド財団の名前が将来的に加えられ、15の建物と1つの大規模インスタレーションが保護対象に含まれることになる。これらはすべて、1973年からジャッドが亡くなる1994年までの間に改修、あるいは制作された作品群だ。
改修された複合施設は、1960年代に閉鎖された元軍事基地の町、マーファへの注目を集めるきっかけとなった。ジャッドは1970年代初頭にこの地で制作を開始し、その後20年にわたり、陸軍基地を自身のスタジオと屋外インスタレーションを展開する場所へと変えていった。この施設は現在、チナティ財団とドナルド・ジャッド財団の拠点として使われている。
ニューヨークのディア・アート財団による資金援助を1978年から受け始めたジャッドは、閉鎖された陸軍基地に改修を加えながら拡張を行った。当時ディア財団は設立されたばかりで、潤沢な予算をアーティストに提供し、野心的な個人美術館の設立を支援する方針のもと活動していた。
1971年にプレシディオ郡を訪れたジャッドは、ニューヨークでは制作できなかった大規模作品のための土地を求めていた。陸軍基地にある9棟の建物と記念碑的な作品は、より大きな作品を展示するためにジャッドが1986年に設立したチナティ財団によって管理されている。残りの6棟は、ジャッドがかつて住んだ家や作業空間の保存・管理を行うドナルド・ジャッド財団によって運営されている。
今回拡張されたフォート・D.A.・ラッセル歴史保護地区は、2022年に指定されたセントラル・マーファ歴史保護地区に続き、ジャッドに関連する2つめの保護区域となる。(翻訳:編集部)
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