マーク・ロスコの絵画が136億円で落札──大物美術商ムニューシンの所蔵品が史上最高額に肉薄

5月14日、大物ディーラーとして知られた故ロバート・ムニューシンが所蔵していた有名作品のオークションニューヨークサザビーズで行われ、マーク・ロスコの絵画が史上最高額に肉薄する約136億円で落札された。ムニューシンはゴールドマン・サックスに30年以上在籍した伝説のトレーダーで、のちにマンハッタンで自らのギャラリーを運営していた。

5月14日のオークションを前にしたマーク・ロスコの《Brown and Blacks in Reds》。Photo: John Nacion/Getty Images

金融界からアート界に転身した有力ディーラー、故ロバート・ムニューシンが所有していたマーク・ロスコの絵画が、5月14日夜にサザビーズニューヨークで行われたオークションで、8580万ドル(最近の為替レートで約136億円、以下同)で落札された。ロスコの最高記録にはわずかに及ばなかったものの、オークションで落札された作品としては史上2番目の高額作品となった。

ロスコによる戦後期のカラーフィールド・ペインティングには、高値が付くことが常だ。しかし、ムニューシン・コレクションの1点として出品された《Brown and Blacks in Reds》(1957)ほどの金額で落札されたものは多くない。これは、今週ニューヨークのオークションハウスで落札された中で、最も高額な作品の中の1つとなった。

オークションに先立ってサザビーズは、この絵画には保証価格と取消不能入札の両方が設定されており、いずれも売却を確実にするものであることを自社ウェブサイト上で明らかにしていた。しかし、サザビーズはオークション前に取消不能入札の設定額を公表しないため、この絵画が7000万~1億ドル(約111億〜158億円)の予想落札価格の範囲内で落札されるのか、それを上回ることになるのかは定かではなかった。

結果、《Brown and Blacks in Reds》は、予想範囲の上限をかなり下回り、下限に近い7400万ドル(約117億円)で決着し、手数料込みで8580万ドル(約136億円)となった。この結果に、サザビーズのオークション会場からは拍手が起こっている。

同作品がこれほどの高い人気を得た理由の1つは、その来歴にある。まず、トレンドセッター的な存在として抽象表現主義の評価を高めたシドニー・ジャニス・ギャラリーで初公開され、その後ジョセフ・E・シーグラム&サンズ社の所蔵品となってマンハッタンの本社ロビーに飾られた。

2003年には、シーグラムを2001年に買収したフランスのコングロマリット、ビベンディが、この絵をクリスティーズのオークションに出品。それを670万ドル(約11億円)で落札したのがムニューシンだった。ムニューシンは同じオークションでもう1点、より大きなサイズのロスコ作品《No. 9 (White and Black on Wine)》(1958)を1630万ドル(約26億円)で落札し、当時のロスコのオークション最高額を記録した。このときムニューシンは、「どちらも素晴らしい作品だ」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。

それ以降、ロスコのオークション記録は大幅に上昇し、2012年にクリスティーズで《Orange, red, yellow》(1961)が樹立した8690万ドル(約137億円)が現在も史上最高額の位置を保っている。

ムニューシンは、2025年に死去するまでアッパー・イースト・サイドで自身の名を冠したギャラリーを経営しており、ほかにも数多くの著名な美術品を所蔵していた。そのうち11点が5月14日にサザビーズのオークションに出品され、ロスコ、ウィレム・デ・クーニングパブロ・ピカソフランツ・クラインなどの絵画やジェフ・クーンズの彫刻が全て落札されている。(翻訳:石井佳子)

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