今週末に見たいアートイベントTOP5:ワイエス作品を「境界」から再読、草野絵美が新シリーズを日本初公開
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 ―江戸を夢見る―(資生堂アートハウス)
“和”の感性を近代へ接続した、小村雪岱の全貌
大正から昭和初期にかけて活躍した美術家、小村雪岱(1887-1940)の作品を総覧する展覧会。東京美術学校(現・東京藝術大学)卒業後、泉鏡花『日本橋』の装幀で高く評価された雪岱は、日本画のみならず挿絵、装幀、舞台美術、映画考証などを横断して活動した。1918年からは資生堂意匠部にも参加し、当時主流だった西洋趣味とは異なる和風デザインを担い、現在の「資生堂書体」の礎を築いたことでも知られる。
本展では、挿絵原画や装幀本、舞台装置下図、版画、資生堂在籍時代の仕事など150余点を展示。余白を生かした構図と端正な線描によって築かれた、清廉なモノクロームの世界に迫る。同時開催の「工藝を我らにセレクション 2026 ―美しく暮らす、四季のしつらえ―」では、工藝品や生活道具を通して、日本の季節行事と暮らしの美学も紹介される。
資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 ―江戸を夢見る―
会期:3月12日(木)〜6月27日(土)
場所:資生堂アートハウス(静岡県掛川市下俣751-1)
時間:10:00~16:30
休館日:日曜~水曜
2. キベラ"スラム"から見つめる世界 ―語られてきた私から、語る私へ。―(BUG)
スラムのイメージを再定義する、若者たちの映像と言葉
ケニア・ナイロビの巨大スラム、キベラに暮らす若者たちによる写真と映像を紹介する展覧会。BUGのアートワーカー支援プログラム「CRAWL」に選出された坂田ミギーが企画し、現地コミュニティとの継続的な協働をもとに実現した。日本国内で使われなくなったカメラを現地の若者たちに寄付し、写真・映像制作を指導するプロジェクト「KIBERACTION」を通じて選ばれた12人が参加する。
本展では、100点を超える写真・映像作品に加え、作家自身による解説映像も展示。外部の視線によって消費されてきた「スラム」のイメージを、そこに生きる人々自身の視点から更新していく。自ら脚本を書き、映像制作に取り組んだ作品群からは、「語る力」を獲得していくプロセスそのものが浮かび上がる。また、来場者が現地の若者たちへ質問を送り、後日返答を受け取れる“対話”の仕組みも設けられている。
キベラ"スラム"から見つめる世界 ―語られてきた私から、語る私へ。―
会期:4月25日(土)〜5月31日(日)
場所:BUG(東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー1F)
時間:11:00〜19:00(5月23日・30日は18:00まで)
休館日:火曜
3. 「Ex Machina Galactica」~3バチ展Vol.4 THE FOURTH PRESENCE~空山基/Rockin'Jelly Bean/寺田克也/feat.士郎正宗(ヴァニラ画廊)
4巨匠がヒロイン像を再構築
ステレオタイプのエロティシズムを追求し続ける画家である空山基、Rockin'Jelly Bean、寺田克也による展覧会の第4弾。空山は「セクシーロボット」シリーズで国内外に名を轟かせる。覆面画家であるRockin'Jelly Beanは1990年より活動を開始。渡米の後、原宿に自身のアーティストショップ「EROSTIKA」をプロデュースする傍ら制作を続ける。イラストレーター寺田は北斎とメビウスにその源流を置き、東洋と西洋を往還する作風で知られる。
今回は『アップルシード』や『攻殻機動隊』原作者である士郎正宗をゲストに迎える。4人のクリエイターが、性機能を備えた人型アンドロイド「セクサロイド」をテーマに新たなヒロイン像を再構築する。18歳未満入場不可。
「Ex Machina Galactica」~3バチ展Vol.4 THE FOURTH PRESENCE~
空山基/Rockin'Jelly Bean/寺田克也/feat.士郎正宗
会期:4月25日(土)〜5月24日(日)
場所:ヴァニラ画廊(東京都中央区銀座8-10-7東成ビルB2F)
時間:12:00〜19:00(土日祝は17:00まで、入場は30分前まで)
休館日:なし
4. 東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展(東京都美術館)
ワイエスが描いた、「境界」の風景
20世紀アメリカ具象絵画を代表する画家、アンドリュー・ワイエス(1917-2009)の没後日本初となる大回顧展。高名な挿絵画家N.C.ワイエスのもとに生まれたワイエスは、1930年代から写実的なスタイルを確立し、戦後アメリカ美術が抽象表現へ傾くなかでも、一貫して身近な人物や風景を描き続けた。ペンシルヴェニアやメイン州の土地に根差した作品群は、アメリカの精神風土を象徴するものとして広く支持されてきた。
本展では、「境界」という視点からワイエス作品を再読する。窓や扉、カーテン、地平線といったモチーフは、内と外、生と死、現実と記憶を隔てる境界として画面に繰り返し現れる。繊細で静謐な風景描写の奥に漂う孤独や緊張感は、作家自身の精神世界とも深く結びついている。ホイットニー美術館の《冬の野》(1942)、フィラデルフィア美術館の《冷却小屋》(1953)をはじめ、10点以上が日本初公開となる。
東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展
会期:4月28日(火)〜7月5日(日)
場所:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
時間:9:30〜17:30(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(6月29日を除く)
5. 草野絵美 個展「Ornament Survival」(√K Contemporary)
いまを生きる女性達に向けた新シリーズを公開
マルチディシプリナリー・アーティストであり、生成AIを用いた作品制作で注目される草野絵美。10代で原宿のストリートファッションを記録する写真家としてキャリアを始動し、その初期作品はヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)に展示された。写真的な感性とAI生成を融合させた代表シリーズ「Office Ladies」は「Paris Photo」で特集され、近年はフィジカルとデジタルの境界を横断する表現へと実践を拡張。アート・バーゼル香港2026のデジタルアートセクション「Zero10」では、初の立体作品を発表した。
本展では、アート・バーゼル香港2026で発表した新シリーズ「Ornament Survival」を日本初公開する。情報資本主義社会における承認欲求の肥大化や、感情のデータ化・テクノロジー化をテーマに、草野はこの時代を生きる女性たちの内面を、幼少期の変身願望と重ね合わせながら描く。新作と同時に代表作《Office Ladies》等も展示され、草野の創作の変遷をたどる機会となる。
草野絵美 個展「Ornament Survival」
会期:5月16日(土)〜6月20日(土)
場所:√K Contemporary(東京都新宿区南町6)
時間:13:00〜19:00
休館日:日月






























