エジプトのピラミッドで観光客が「80メートル」滑落! 精鋭救急隊員による2時間の救助活動で救出

10月19日、エジプト・ダハシュール考古学地区にあるスネフェル王の屈折ピラミッドを訪れたスペインの観光客が、内部の通路を80メートルにわたり滑落。地元の救急隊員によって助け出された。

ダハシュール考古学地区にある屈折ピラミッド。Photo: Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images

エジプト・ダハシュール考古学地区にあるスネフェル王の屈折ピラミッドを訪れたスペインからの観光客の女性が内部で足を滑らせ、通路の奥深くまで約80メートル滑落したとエルサレムポストが伝えた。

事故が起きた「屈折ピラミッド」は、古代エジプト・古王国時代第4王朝のファラオでクフ王の父でもあるスネフェル王(在位は紀元前2613-紀元前2589)のピラミッドで、その名の通り途中で傾斜角度が変わっており、下の部分は54度、上部は43度となっているのが特徴だ。これは、建設中に同時期に同じ工法で建築されていたピラミッドが完成直後に崩壊したため、急遽傾斜を変更したと言われている。屈折ピラミッドは1965年以降内部へ入ることができなかったが、2つの埋葬室に繋がる長さ約80メートルの通路を修復するプロジェクトが終了した2019年から再び一般観光客への公開が行われていた。

スペイン人観光客の女性の夫から緊急通報を受けた地元の消防署は、直ちに救助チームを派遣した。現場に駆け付けた隊員のアフメド・アリ・ハムーダとアリ・ハッサン・アブデル=メグイドは、高さも幅も1メートルに満たず、26度の傾斜がある通路を約80メートル進んだ地点で女性を発見した。だがこの場所は、通常の担架を運び込むことは不可能だった。しかも女性は足を負傷しており、自力で這い上がることは難しい。そこで隊員たちは警備員の協力を得て、板で彼女の脚を固定し、スパイダーストラップと呼ばれる硬質脊椎ボードに彼女を固定してから登坂を開始した。通路は非常に狭く、時には這って進まねばならない場所もあった。救出作業は約2時間続き、女性が外に運び出されると、周囲からは拍手が起こった。その後、女性はさらなる治療のために救急車で搬送された。

エジプト救急当局はエルサレムポストの取材に対して、「考古学遺跡で実施された最も複雑な救助活動の一つでした」と振り返った。そして当局は、内部通路への立ち入りに伴うリスクについて理解し、現地ではスタッフの指示と制限に従うよう警告している。

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