公園のキング牧師像に住民から批判相次ぐ。アーティストは「力強さや親しみを表現」と説明
7月12日にアメリカ・フロリダ州の公園で除幕された、キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929-1968)のブロンズ彫刻が「似ていない」と批判が相次いでいる。

2025年7月12日、Hyperallergicはフロリダ州のウィンターパーク市にあるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア公園で除幕されたキング牧師像が「似ていない」と騒ぎになっていると報じた。
問題の像は、ニューヨーク在住の彫刻家、アンドリュー・ルイが手掛けた全長3メートルの《The Ripple》(2025)で、スーツを着たキング牧師が片手に本を持ち、もう片方の手を振っている姿が描かれている。ルイはニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグとナショナル・アカデミー・オブ・デザインで教師を務め、メトロポリタン美術館では2つのレジデンシーを経験するなど実績あるアーティストだ。今回のキング牧師像制作は1000以上の提案の中から市の委員会によって選ばれ、50万ドル(現在の為替で約7400万円)の費用をかけて地元住民のチームと協力して作り上げられた。
だが、いざ除幕されると、ほかの地元住民やメディアから「身体のバランスが悪く、似ていない」という批判が相次いだ。エッセンス誌の共同創設者ジョナサン・ブラウントは7月23日に開催された市議会に出席し、議員に向けて、「像の頭、腕、足が大きすぎて、まるでキング牧師の『風刺画』のように見えます。全く似ておらず、やり直すべきです。我々の歴史にとってこれほど重要な人物の恒久的な表現としては、単に十分ではありません」と訴えた。

この騒動を受けて、市は8月6日に作者のアンドリュー・ルイによる書簡を公表。その中でルイは、「キング牧師を忠実に再現することを意図したものではありません。私たちは彼を実物大を超えるスケールで描くことを選び、力強さ、ジェスチャー、親しみやすさを強調するために簡素化された姿にしました」と主張している。そのほか足が異様に大きい点については、制作チームの中から出た「キング牧師は大きな靴を履く立場にあった(大きな責任を負っていたという意)」という意見を採用し、頭が大きい理由は、公園内や周辺の街路からの視認性を高めるためだったと明かしている。
キング牧師にまつわるパブリックアートで批判が起こったのは、これが初めてではない。2023年にボストンに設置された、アーティストのハンク・ウィリス・トーマスがキング牧師夫妻の「腕」をモチーフに制作した《The Embrace》が、ある角度から見ると「巨大な陰茎のように見える」とSNSで炎上している。