燃ゆる京都でアートな甘味に舌鼓! 紅葉の季節に堪能したいミュージアム・スイーツ7選 

秋の京都は、紅葉のみならず芸術でも大いに盛り上がる時期。美術館や博物館に併設されたカフェでは、作品にインスピレーションを得たスイーツが感性をやわらかく満たしてくれる。ここでは、秋の京都ならではのミュージアム・スイーツを厳選して紹介する。

Photo: Norico Uemura

いよいよ紅葉シーズンを迎えた京都。寺社仏閣は言わずもがな、美術館や博物館などアートな名所も多い上、11月14日からは世界的評価の高まるアートフェア、Art Collaboration Kyoto(ACK)も開幕する。アート鑑賞で高ぶった感性を、甘味のやさしさで静かに整える──それも京都旅の醍醐味のひとつだ。

というわけで、今回は、京都の7つの美術館や博物館に併設したカフェのオリジナルスイーツを紹介する。パフェ、甘味、和菓子など、バリエーションの豊富さは古都ならでは。

国宝にインスピレーションを得た意匠や、京都らしい食材やフレーバーが用いられたミュージアムごとの多様な工夫は、アートな京都観光の思い出を一層あざやかに彩ってくれるだろう。

美人画の色彩を模したパフェで福をいただく【福田美術館】

季節の福パフェ(税込1600円)Photo: Norico Uemura
季節の福パフェ(税込1600円)Photo: Norico Uemura

嵐山の渡月橋からほど近い福田美術館では、江戸から近代にかけての日本画を中心に、シーズンごとに企画展を開催している。「季節の福パフェ」は、2026年1月18日まで開催している、美人画の第一人者とも言われる上松松園の作品にインスピレーションを受けた色彩が特徴。生クリームの上にいちごパウダーであしらわれた「福」の字にスプーンを入れると、シャインマスカットとミルクアイスが顔を出す。黒糖でキャラメリゼされたポン菓子のサクサクした食感も絶妙だ。食べ進むと現れる新鮮なわらび餅をあんこと一緒にいただくと、たちまち和のテイストに「味変」。結びのぶどうゼリーで、さっぱりと終わることができるのも嬉しい。

パンとエスプレッソと福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 福田美術館1F
通常営業時間:10:00〜17:00  
休業日:不定休
※入館者専用。入館は16:30まで、パフェの提供は13:00から

しょうがの香りがクセになる「ひやしあめパフェ」【京都文化博物館】

ひやしあめパフェ(税込1100円)Photo: Norico Uemura
ひやしあめパフェ(税込1100円)Photo: Norico Uemura

年間を通じて特別展やイベントが多数開催されている京都文化博物館では、江戸時代末期の京の町家の表構えを復元した「ろうじ店舗」で飲食やショッピングが楽しめる。宇治で半世紀以上京飴をつくり続ける岩井製菓が運営する「とにまる」では、名物のひやしあめのジェラートとゼリーが美味な「ひやしあめパフェ」が人気だ。ひやしあめは夏の清涼飲料水として、江戸時代以後に京都を中心とした関西でよく食されたそう。岩井製菓のひやしあめは最上級の米飴と中双糖を地釜でゆっくり焚きあげ、甘さとしょうがの香りのバランスも絶妙だ。添えられたゆずのジェラートや抹茶ゼリーも口当たりがよく、するすると食べ進めてしまう。

とにまる ぶんぱく店 京都文化博物館 ろうじ店舗)
住所:京都市中京区三条通高倉 京都文化博物館 ろうじ店舗内
通常営業時間:11:00〜18:00
休業日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日が休み)、京都文化博物館の休館日に準ずる

疏水を愛でながら甘味でひといき【京都国立近代美術館】

白川〜抹茶ゼリーと十勝小豆〜バニラアイス添え(税込750円)Photo: Norico Uemura
白川〜抹茶ゼリーと十勝小豆〜バニラアイス添え(税込750円)Photo: Norico Uemura

平安神宮もある岡崎公園内に位置する京都国立近代美術館は、京都を含む西日本の美術や工芸にフォーカスした多彩なジャンルの展覧会を開催している。館内にあるcafe de 505は岡崎疏水沿いにあり、春は疏水沿いの桜並木を楽しめるお花見スポットでもある。定番メニューの「白川」はモンドセレクションを受賞した十勝あずきを使用したつぶあん、上品な甘さとバニラアイス、抹茶ゼリーのつるっとした喉ごしが心地よい。フルーツサンドやミックスサンド、自家製スコーンなどの軽食も充実している。天気がいい日には疏水に面したテラス席で、スイーツと共に開放的な気分で展示の余韻にひたるのもおすすめだ。

café de 505(カフェ・ド・ゴマルゴ)
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町26-1 京都国立近代美術館1階
通常営業時間:10:00〜18:00(L.O閉店30分前、企画展開催中の金曜日は19:00まで)
休業日:月曜日(月曜日が祝日の場合、美術館の開館に準じて営業、翌日休業)

素朴ながら繊細で味わい深い「ほうじ茶きんとん」【京都市京セラ美術館】

民藝展コラボ和菓子「ほうじ茶きんとん」(税込650円)Photo: Norico Uemura
民藝展コラボ和菓子「ほうじ茶きんとん」(税込650円)Photo: Norico Uemura

同じく岡崎公園内にある京都市京セラ美術館にあるカフェ、ENFUSEでは、12月7日まで開催の特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」とコラボレーションした「京菓子司 金谷正廣」特製の「ほうじ茶きんとん」を提供。外には一保堂茶舖のほうじ茶をぜいたくに練り込んだ白あんを、中には自家製のつぶあんがあしらわれ、多層かつ繊細な甘さが口のなかに広がる。童仙房茶舗のほうじ玄米茶やかぶせ茶とのペアリングもおすすめだ。カフェでは店内での飲食だけでなく、お弁当などのピクニックプランも提供している(3日前までに要予約、11月30日まで)。

ENFUSE
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124 京都市京セラ美術館 B1F
通常営業時間:10:30〜19:00(L.O18:00)
休業日:月曜 (祝・休日の場合は開館)/年末年始(12月28日〜1月2日)

国宝の孔雀明王図がパフェになったら【京都国立博物館】

孔雀パフェ(税込1800円)Photo: Norico Uemura
孔雀パフェ(税込1800円)Photo: Norico Uemura

京都国立博物館に併設する前田珈琲 京博店では、11月16日まで開催の特別展「元仏画 ─ 蒼海(うみ)を越えたほとけたち」のメインビジュアルにもなった「国宝 孔雀明王像」にインスピレーションを受けた「孔雀パフェ」が存在感を放つ。カシスアイス、鮮やかなブルーのサイダーゼリー、キウイの果実、ブルーベリーソースなどのビビッドな色彩が、孔雀明王像の艶やかさを連想させる。トップに乗ったチョコレートや孔雀が描かれたクッキーは、口をつけるのに躊躇してしまうような造形美だ。ゼリーやフルーツの爽快な口ざわりと、生クリームやスポンジケーキの濃厚な甘さのコンビネーションもほどよい。

前田珈琲 京博店
住所:京都市東山区茶屋町527 京都国立博物館内
通常営業時間:9:15〜17:00 ※展示入れ替えなどに伴い、営業時間の変更あり
休業日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日休み)

季節の恵みたっぷりの庭園パフェ【源氏物語ミュージアム】

庭園パフェ ー栗の州浜ー(税込1650円)Photo: Norico Uemura
庭園パフェ ー栗の州浜ー(税込1650円)Photo: Norico Uemura

宇治川のほとりにあり源氏物語ミュージアムは、実物大の牛車や調度品の複製が展示され、源氏物語の世界観に触れることができる。館内のカフェ雲上茶寮の「庭園パフェ」は季節ごとに内容が変わり、その時季の旬の食材やフレーバーを満喫できる一皿だ。秋は「栗の州浜」と題し、栗の山、ムース、甘納豆で枯山水を表現。食べ進めると自家製のほうじ茶ジェラートやほうじ茶のシフォンケーキ、甘栗が登場し、ほのかな苦みと甘みがバランス良く口の中に広がる。併設しているショップでは、薫や浮舟といった源氏物語の宇治十帖の登場人物の名を冠したオリジナルの茶葉など、源氏物語ゆかりのオリジナルグッズも充実している。

雲上茶寮
住所:宇治市宇治東内45-26 源氏物語ミュージアム館内
通常営業時間:9:00〜17:00(L.O16:30)
休業日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日休み)

特製プレート上に広がる若冲とケーキの調和【細見美術館】

若冲デザート(税込1350円)Photo: Norico Uemura
若冲デザート(税込1350円)Photo: Norico Uemura

日本美術を中心に多様な企画展を開催する細見美術館は、江戸中期の画家である伊藤若冲の作品を19件所蔵している。この縁から今年3月、併設カフェを「JAKUCHU CAFÉ」としてリニューアルオープン。「若冲デザート」は、同館所蔵の若冲作品のモチーフが描かれた特製のプレートで、宇治抹茶ショコラケーキが供される。セットを注文すると、ドリンクに加え若冲作品が描かれたオリジナルポストカードが付いてくるのも嬉しい。店内には同館所蔵の若冲作品の高精細複製画が掛軸となり展示され、スイーツを楽しみながらゆっくりと若冲の世界観に浸ることができるのもポイントだ。

JAKUCHU CAFÉ
住所:京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 細見美術館 B2F
通常営業時間:10:30〜17:00(LO16:30)
休業日:美術館に準ずる

あわせて読みたい