中国の山奥で573基の古代要塞を大発見! 約5000年前の「組織化された共同体」を示す重要な成果

中国・陝西省楡林市の山岳地帯で、考古学者たちが河谷沿いに密集する573基の古代要塞を確認した。最古の要塞は紀元前約2800年に遡り、いずれも集落としての機能も備えていたとみられる。

中国・陝西省の山岳地帯。Photo: Xinhua News Agency via Getty Images

中国・陝西省、楡林市の山岳地帯で調査を行っていた考古学者たちが、河谷に沿って密集する573基の古代要塞を発見した。最も古いものは紀元前約2800年に遡り、それ以外は中国最古級の王朝である殷(商)王朝(紀元前1600-1046頃)や周王朝(紀元前1046-256頃)の時期に建設されたものとみられる。

この成果は、楡林市の文化遺産・考古学チームによる6年間にわたる調査の結実だ。研究者たちはまず航空スキャン技術で古代の河川システムを特定し、水源近くに要塞や集落跡が現れるという仮説を検証。実際、山の斜面に広がる要塞群の位置を、地形調査と組み合わせることで特定することに成功した。

調査チーム責任者の馬明志は、これらの要塞は単なる防衛施設ではなく、周囲の小規模な村々を束ねる社会組織の中心地として機能していた可能性を指摘する。

最古の要塞は、中国で農耕村落が発展していった仰韶文化後期(紀元前2800年頃)に遡る。殷・周の時代になると要塞の設計はさらに洗練され、指導者・職人・労働者が分業する階層化した社会構造が形成されていた。今回の発見によって、古代中国における「要塞化された共同体」の誕生と発展を、数千年規模で辿ることが可能になった。

また、多くの古代中国の集落が木材や土で築かれたのに対し、楡林市の要塞群が一貫して岩を用いて建てられている点も特筆に値する。岩を使った建設は膨大な労力を伴うが、研究者たちはこれを「集落の永続性を求める意図の表れ」とみている。

楡林市で見つかった要塞群は、昨年サウジアラビアのオアシスで発掘された約4000年前の要塞都市とほぼ同時期にあたる。両者は、人類がこれまで考えられていたよりも早い段階で組織化された共同体を築いていたことを示す貴重な証拠となっている。(翻訳:編集部)

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