祖父の収集品に新たな評価。一般家庭に眠っていた版画35点がレンブラントの「真作」と判明
オランダの一般家庭の金庫に長い間眠っていた版画35点が、レンブラントの真作と判明した。近年、オークション市場で記録的高値が続く巨匠の作品が思いがけない場所から姿を現し、注目を集めている。

新型コロナウイルスのパンデミック期間中、世界中の多くの人々が自宅で過ごす時間を余儀なくされたが、シャルロッテ・マイヤーほど思いがけない発見に恵まれた人は多くないだろう。引っ越し後の時間を利用して、亡き祖父から受け継いだフォルダを整理していた彼女は、そこに収められていた35点のエッチング(銅版画)をアムステルダムのレンブラント・ハウス美術館に持ち込んだ。調査の結果、それらがオランダ黄金時代の巨匠レンブラントの真作であることが確認されたのだ。
当時についてマイヤーは、オランダ公共放送のOmroepの取材にこう語っている。
「美術館の職員が私の家に来てエッチングを目にした瞬間、驚いて『シャルロッテ、君は自分が何を持っているか全く分かっていないね!』と言いました。それを聞いた私は『これは本当に価値のあるものなのかもしれない』と思いました」
このフォルダは、オランダ東部の町ズトフェンにある家族の自宅の金庫に長年保管されていたという。エッチングは、マイヤーの祖父が1900年から1920年の間に収集したものだった。
「祖父がこれらを購入した当時、版画に関心を持つ人はほとんどなく、特別なものではなかったようです。祖父はわずか数ギルダー(現在の価値に換算すると数万円)で、これら35点を購入しました」

マイヤーは今回発見されたレンブラント作品の評価額を明らかにしていないが、市場における同作家の版画の価値は高騰している。クリスティーズは2023年から2025年にかけて、故サム・ヨセフォヴィッツ旧蔵のレンブラント・エッチング・コレクションを出品した。2025年12月3日に行われたセールでは、《アルナウト・トリンクス、監察官》(1656頃)が420万ドル(当時の為替で約6億円)で落札され、オールドマスターの版画として史上最高額を記録した。ほかの約70ロットもそれぞれ5万ドル(同・約780万円)未満で取引されている。
さらに版画ではないが、2026年2月4日にサザビーズでレンブラントの素描《横たわる若いライオン》(1638–42)が1790万ドル(約28億円)で落札され、素描作品としてオークション史上最高額を更新した。
マイヤーは、レンブラント・ハウスの職員から祖父のコレクションの価値を聞くうちに、自らコレクションを拡充しようと考えるようになったという。
今回真作と判明した35点のエッチングと、その後マイヤーが収集を広げたレンブラントおよびその先駆者、同時代の画家・追随者による作品は、地元のステデリック美術館ズトフェンで開催される展覧会「闇から光へ」(3月21日〜6月14日)で公開される。(翻訳:編集部)
from ARTnews









