サザビーズ、美術品・コレクターズカー担保ローンを証券化──金融事業拡大が次段階へ
2024年に美術品担保ローンの証券化に乗り出したサザビーズの金融サービス部門が、その第2弾として美術品とコレクターズカーを対象とする債権の証券化を発表した。金融事業強化の進展を示すものとして注目される。

1月28日にサザビーズ・フィナンシャル・サービス(SFS)は、美術品担保ローンとコレクターズカー担保ローン債権による9億ドル(最近の為替レートで約1400億円、以下同)規模の証券化案件の価格設定が行われたと発表した。同社によると、一連の発行手続きは2月3日に完了する予定で、大手格付け会社モーニングスターDBRSから最高ランクの信用格付けを付与される見込みだという。
この案件を簡単に言うと、美術品や高級車を担保としてコレクターに融資された数百件のローン債券をまとめたものを証券化して、投資家向けに発行するというものだ。投資家はローンの借り手による返済を裏付けとする分配金を定期的に受け取り、サザビーズ側は新規融資に回す資金を調達できる。
サザビーズは2024年に証券化プログラムを開始し、7億ドル(約1100億円)相当の美術品担保ローンの証券化を行った。その取り組みは、住宅ローンや自動車ローンなどのように、美術品ローンを金融市場で取引可能なものにするとして注目された。そして今回発表された証券化第2弾では、コレクターズカー担保ローンが追加され、金額的な規模も拡大されている。
コレクターズカー担保ローンの証券化は、サザビーズの事業の方向性を明確に示すシグナルと言える。同社は、美術品担保ローンをオークションビジネスに付随するニッチなサービスとして位置付けてはいない。絵画や高級車などを担保とした融資を幅広く行う、ラグジュアリー資産の金融プラットフォームとしての強化を図っているのだ。
また、コレクターズカーが加わったことで、今後も融資の対象が広がることが予想される。時計、ワイン、宝飾品、有名ブランドのハンドバッグなど、価値の高い収集品を担保とした融資や、その融資を束ねた証券化の可能性は、関連業界の幹部やアドバイザーによって長年議論されてきた。こうした高級品の多くはセカンダリー市場で活発に取引され、価格基準が確立されているので美術品より評価が容易だという利点がある。ただし、こうした商品分野における大規模な証券化に踏み切るかどうかは、流動性や透明性、証券化市場でどれほどのパフォーマンスが期待されるかによって判断されることになる。
サザビーズ・フィナンシャル・サービスの共同代表で、最高執行責任者(COO)と最高資本責任者(CCO)を兼務するロン・エリメレクは、今回の証券化案件に対する投資家の関心は同社の予想を上回ったとプレスリリースで述べている。また、同社の融資ポートフォリオが過去4年間で10億ドル(約1540億円)以上拡大し、創設以来の融資総額が120億ドル(1兆8500億円)を超えたことも発表されている。(翻訳:石井佳子)
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