ルーブル窃盗事件に進展──4人を新たに逮捕、美術館は警備体制の抜本見直しへ

フランス検察当局は11月25日、ルーブル美術館から王室宝飾品を盗んだ疑いで、新たに男女4人を逮捕した。盗品は依然として発見されていないが、美術館は警備体制の具体的な見直しを進めている。

ルーブル美術館を警備する警察官。Photo: Kiran Ridley/Getty Images
ルーブル美術館を警備する警察官。Photo: Kiran Ridley/Getty Images

フランス検察当局は11月25日、ルーブル美術館から王冠などの宝飾品を盗んだ疑いで、31〜40歳の男女4人を新たに逮捕したと発表した。4人は現在取り調べを受けているが、事件への具体的な関与についてはまだ公表されていない。

10月にも同事件に関連して4人が拘束されており、うち2人はタクシー運転手と配達員兼ごみ収集作業員で、1人はアルジェリアへ逃亡を図っていたところをパリ=シャルル・ド・ゴール空港で逮捕された。他2人は、2人の子どもを育てる男女だといい、女性は拘留から釈放され司法監督下に置かれている。いずれの窃盗犯もパリ郊外のセーヌ=サン=ドニ出身だという。これ以外にも、いとこの証言や容疑者の1人が動画クリエイターだったことなど、関係者の素性に関する情報も報じられつつある。一方、事件に関与した容疑者の1人は現在も逃走中とみられている。

10月19日の午前9時半頃、窃盗犯たちは高所作業車と電動カッターを使って美術館の「ガレリー・アポロン」に侵入し、推定1億200万ドル(約160億円)相当の宝飾品9点を8分足らずで盗み出した。盗まれた9点のうち、ナポレオン3世の皇后ウジェニーが所有していた王冠はのちに館外で発見され、修復が予定されている。

同館館長ローランス・デカールは事件直後、警報装置は作動していたと説明する一方で、セキュリティシステム全体には深刻な欠陥があると認めた。こうした状況を受け、ルーブル美術館は11月7日に緊急措置としてのセキュリティ対策を講じたが、会計検査院の最新の監査報告書によれば、警備システムの全面的な更新が2032年までに完了する見通しは立っていないという。そのため、当面の強化策として約100台の監視カメラと車両突入防止装置が近日中に設置される。これ以外にも、ルーブル美術館はセキュリティ・コーディネーターの採用を検討しており、この役職は技術設備や展示施設、ITを含むセキュリティに関するすべての関連部門と連携するという。

今回の逮捕を受けても行方がわかっていない宝飾品は、インターポールの失われた芸術品のデータベースに登録されており、捜索は続いている。(翻訳:編集部)

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