盗まれた「ルーブル美術館の至宝」が明らかに。計り知れない価値を持つ宝飾8点、犯人は逃走中

10月19日、パリルーブル美術館に窃盗団が侵入し、王室の宝飾品コレクションが展示されている「ギャラリー・アポロン」から「計り知れない価値」を持つジュエリー8点が盗まれた。フランス文化省が事件の詳細を明らかにした。

10月19日にルーブル美術館から盗まれたウジェニー皇后の髪飾り。212個の真珠、1,998個のダイヤモンド、992個のローズカットダイヤモンドがあしらわれている。 ハンス・ルーカス/AFP via Getty Images
10月19日にパリ・ルーブル美術館から盗まれたナポレオン3世の皇后ウジェニーのティアラ。212個の真珠、1998個のダイヤモンド、992個のローズカットダイヤモンドがあしらわれている。Photo: Hans Lucas/AFP via Getty Images

10月19日、パリルーブル美術館にプロの窃盗団が侵入し、皇帝ナポレオン3世と皇后ウジェニーが所有していたものを含む「計り知れない価値」を持つ王室の宝飾品が盗まれた。このニュースが報じられてから数時間後、フランス文化省は正式な声明を発表し、今回の盗難で失われた品々の詳細を明らかにした。

文化省の発表によると、ルーブル美術館の中でもフランス王政期の贅を極めた装飾芸術の象徴的空間として知られるガレリー・アポロンから盗まれたのは以下の品々だ(リンク先では、ルーブル美術館による各作品の画像と歴史的情報を見ることができる)。

マリー=アメリー王妃およびオルタンス王妃のパリュール(宝飾セット)。Photo: Courtesy of Louvre Museum
マリー=ルイーズ皇后のパリュールのエメラルドのネックレス。Photo: Courtesy of Louvre Museum
マリー=ルイーズ皇后のパリュールのエメラルドのイヤリング。Photo: Courtesy of Louvre Museum
「聖遺物容器」ブローチ。Photo: Courtesy of Louvre Museum
ウジェニー皇后のティアラ。Photo: Courtesy of Louvre Museum
ウジェニー皇后の大型コサージュ・ボウ(ブローチ)。Photo: Courtesy of Louvre Museum

文化省が発表したプレスリリースによれば、犯行グループの侵入は非常に短時間および乱暴なものであり、ガレリー・アポロン外部の窓に設置された警報装置と、上記の宝飾品が飾られていた高セキュリティ仕様の展示ケース2基に接続された警報装置が作動。現場および隣接する展示室にいた5名の警備員は安全プロトコルに従って直ちに警察に連絡、また、来館者および職員の安全確保を最優先に行動したが、犯行グループは逃走した。犯人たちは逃走の際に「聖遺物容器」ブローチとコサージュ・ボウの2点を落とし、これら2点とも「良好な状態で回収された」という。犯行に使用された高所作業車は、警備員により押収された。来館者および職員に負傷者はいなかった。

ルーブル美術館では、エマニュエル・マクロン大統領が今年1月に発表した「ルーブル ― 新ルネサンス(Louvre – New Renaissance)」プロジェクトに基づき、最新の監視カメラによるセキュリティ強化、周囲警戒システムの導入、新たなセキュリティ指令センターの設置などのセキュリティ計画が進行中だった。

現在、パリ地方検察庁の指揮のもと、犯罪取締課(Brigade de répression du banditisme/BRB)が「組織的窃盗および犯罪共謀」の容疑で捜査を進めている。

from ARTnews

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