ルーブル窃盗事件、逮捕者の一人は元警備員の動画クリエイター。過去動画には逃走に使ったバイクの姿

10月にルーブル美術館から王室の宝飾品が盗まれた事件で容疑者1人の素性が明らかになった。その男はポンピドゥー・センターで警備員として働いていたほか、SNSのコンテンツクリエイターでもあったという。

ルーブル美術館のガレリー・アポロン。Photo: Stringer/Anadolu via Getty Images
ルーブル美術館のガレリー・アポロン。Photo: Stringer/Anadolu via Getty Images

10月にルーブル美術館からフランス王室の宝飾品を盗んだ容疑で逮捕された4人の容疑者の素性が明らかになった。ル・パリジャン紙によれば、そのうちのひとりは、モトクロスバイクを使ったトリックを披露するSNSコンテンツクリエイターだったという。

フランスの捜査当局はこの人物をアブドゥライエ・Nと特定し、10月19日の窃盗事件から6日後にパリ郊外オーベルヴィリエの自宅で逮捕した。彼は施錠されていない窓から「ガレリー・アポロン」に侵入し、バイクで逃走した2人のうちの1人とされる。現場に残された手袋や安全ベスト、電動カッターなどから彼のDNAが検出された

ル・パリジャン紙とフランスの放送局BFMTVによれば、アブドゥライエ・NはSNS上で「Doudou Cross Bitume」という名義で活動し、YouTubeやInstagram、TikTokでバイクのトリックや筋トレの動画を公開していた。さらに、その動画の中には、美術館から逃走する際に使われたとみられるヤマハ「TMAX」に乗る姿も確認できるという。

アブドゥライエ・Nはこれまでユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やトイザらスで働き、ポンピドゥー・センターでは警備員として勤務していたと報じられている。しかしその経歴の裏で、薬物所持・輸送や無免許運転など計15件の前科を持つ。2014年には宝石店強盗で有罪判決を受けており、今回逮捕された他の容疑者の1人も、その事件で共犯として有罪となっていた。

AP通信によれば、アブドゥライエ・Nは11月5日に裁判所へ出廷する予定だった。これは今回のルーブル窃盗事件とは別件で、2019年に窃盗容疑で拘束された際、独房内で鏡を割るなどの器物損壊を行ったとされる事件に関するものだった。なお、当時の窃盗容疑については後に無罪となっている。

容疑者の特定は進んでいるものの、盗まれた宝飾品は依然として回収されていない。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい