フランク・ロイド・ライト最晩年の傑作が14億円で販売。グッゲンハイム美術館のDNAを受け継ぐ円形建築

フランク・ロイド・ライト(1867–1959)が最晩年に手がけた住宅「ノーマン・ライクス邸(通称サーキュラー・サン・ハウス)」が売りに出された。現在はAirbnbで宿泊も可能なこの名作建築の価格は、約880万ドル(約14億円)に設定されている。

ノーマン・ライクス邸。Photo: Courtesy Realty ONE Group

フランク・ロイド・ライトが最晩年に手がけた住宅作品、ノーマン・ライクス邸(通称サーキュラー・サン・ハウス)が現在売りに出されている。

アリゾナ州フェニックスの丘の上に建つこの住宅は、ライトが死去した1959年に設計されたものだ。建設は彼の死後、元弟子であるタリアセン・アソシエイテッド・アーキテクツのジョン・ラッテンベリーが引き継ぎ、1967年に完成した。

延床面積は約287平方メートル。2階建ての建物には、3つの寝室と3つのバスルームに加え、書斎兼ラウンジ、図書室、書斎が備えられている。さらに、ライト自身がデザインした特注のマホガニー製造作棚や、椅子、テーブルなどの家具類も含まれている。1995年には改修が行われ、2019年には新たに4基の空調ユニットが設置された。

ノーマン・ライクス邸リビングルーム。Photo: Courtesy Realty ONE Group
窓からの景色。パームキャニオンを望む絶景。Photo: Courtesy Realty ONE Group
書斎。Photo: Courtesy Realty ONE Group
ノーマン・ライクス邸外観。Photo: Courtesy Realty ONE Group
キッチン。Photo: Courtesy Realty ONE Group
オフィス。Photo: Courtesy Realty ONE Group
俯瞰図。Photo: Courtesy Realty ONE Group
玄関ホール。Photo: Courtesy Realty ONE Group
プール。Photo: Courtesy Realty ONE Group

ノーマン・ライクス邸の最大の特徴は、ライトがキャリア後期に探究した円形幾何学の徹底した導入にある。この造形思想を最も象徴的に示す作品が、ニューヨークのグッゲンハイム美術館だ。1943年から構想が始まり、1959年に完成した同館の螺旋構造は、20世紀建築を代表する革新的な空間として知られている。

ノーマン・ライクス邸は、そのグッゲンハイム美術館で展開された円形幾何学の思想を、住宅建築へと押し進めた作品といえる。部屋は中央の核となる部分から枝分かれするように配置され、半円形および円形の窓が随所に設けられている。うねるような壁面が空間同士を継ぎ目なくつなぎ、建物全体に流動的なリズムを生み出していることから、「サーキュラー・サン・ハウス(円形の太陽の家)」の名で呼ばれるようになった。

現在この住宅は、不動産会社Realty ONE Groupによって約880万ドル(約14億円)で売りに出されている。一方で、Airbnbを通じて2泊からの宿泊も可能で、例えば4月1日からの利用で2泊分の料金はおよそ91万円に設定されている。

価格は決して安くはないが、利用人数制限の記載はなく、レビューでは「忘れがたい。壮観。幻想的。啓示的。刺激的」「真に唯一無二の場所で、素晴らしい滞在だった。昼も夜も同じくらい信じがたいほどの眺めが広がり、この家にはこれまで泊まったどの場所とも違う独特の雰囲気があった」といった高評価が相次いでいる。

建築史に名を刻むライト最晩年の住宅は、いまや「購入する名作」であると同時に、「体験できる建築」としても注目を集めている。(翻訳:編集部)

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