「困り顔の土偶」ほか希少な縄文土器が多数出土! 床尾中央遺跡の発掘速報展が2月開幕
長野県塩尻市の床尾(とこお)中央遺跡で縄文中期から平安時代に至る集落跡の発掘調査が行われ、74軒もの住居跡から、希少な釣手土器や三角壔(とう)形土製品、土偶や埋甕(うめがめ)など、縄文時代を中心とする遺物が大量に見つかった。塩尻市立平出博物館では2月14日から、その成果を伝える速報展が開催される。

塩尻市の宗賀地区にある床尾中央遺跡で、2025年5月半ばから12月中旬にかけて大規模な発掘調査が行われ、縄文中期(約5100~4800年前)、古墳時代(4世紀頃)、平安時代(11世紀頃)の集落跡から、74軒にのぼる住居跡が発見された。
内訳は縄文中期が41軒、古墳時代16軒、平安時代17軒で、複数の釣手土器(*1)、祭祀に用いられたと見られる三角とう形土製品(三角柱状の土製品)、困った顔をしたような土偶、良好な保存状態の埋甕に使われた土器(*2)や石棒などが多数出土している。発掘の経過は平出博物館の公式インスタグラムで順次公開され、多くの「いいね」やコメントが付くなど関心を集めた。
*1 アーチ形の把手や香炉の蓋のようなものが付いた鉢で、祭祀や儀礼を行う際に油を用いて火を灯したと考えられている。
*2 埋甕とは、深鉢形土器に遺体などを収容して住居の入口部に埋めた縄文時代の風習。
同館の小松学館長によると、1994年に隣接する区域で調査が行われ、狭い範囲にもかかわらず縄文時代20軒、中世3軒の住居跡が発掘された。そのため、今回の調査でもかなりの数の住居跡や遺物が見つかることを期待していたという。
実際に調査を進めると、いくつもの住居跡が折り重なるように発見され、そこから大量の土器や石器などが出土した。しかも、非常に希少性の高い遺物が含まれていたことについて、小松館長はARTnews JAPANのメール取材にこう答えている。
「通常ならば1つの遺跡から1、2点しか出土しないような釣手土器が、ほぼ完全な形のものも含め7点以上発見されたり、松本平で3例目の三角とう形土製品が出土したり、さらには原型を保った埋甕が24個も見つかるなど、想定をはるかに超えた成果が上がり、改めて床尾中央遺跡のすごさを痛感させられました」
塩尻市立平出博物館では、発掘調査の結果をまとめた企画展「掘ったら出た!~床尾中央遺跡発掘速報展~」を2月14日から3月31日まで開催する。出品が予定されているのは、縄文時代の深鉢形土器、埋甕に使われた土器、釣手土器、土偶、石棒、勾玉、栓状耳飾り、土鈴、石器のほか、古墳時代・平安時代の土師器、灰釉陶器、管玉、炭化物(材・モモ種)など。展示は写真パネルなども活用した分かりやすいものになる予定だ。
床尾中央遺跡周辺や、近隣の平出(ひらいで)、洗馬(せば)地区には16カ所の遺跡の存在が確認されており、そのうち平出遺跡は国の史跡に指定されている。小松館長は、「今回の発掘調査を報じたメディアや、博物館のインスタを通じて床尾中央遺跡に関心を持った方々に、いち早く発掘調査の成果を知らせ、まだ床尾中央遺跡のすごさを知らない方にも遺跡の魅力を伝えたいと思っています」と速報展に向けた抱負を語り、こう付け加えた。
「12月に発掘調査が終了したばかりで、まだ接合作業などが進んでいません。そのため、割れた状態の土器や、あえて洗わずに発掘現場の土がついた状態の土器なども展示して臨場感を味わってもらいたいと考えています」





























