KAWS、模造品販売のシンガポール企業に対する訴訟で勝訴──アーティストを悩ませる著作権侵害問題
人気アーティストのKAWSが、フィギュアや玩具類、絵画等の模造品を販売していたシンガポールの企業などに対する訴訟で勝訴。賠償金は90万ドル(約1億2000万円)にのぼる。
ニューヨーク南部地区裁判所に提出された裁判資料によると、KAWSは2020年にシンガポールのディラン・ジョイ・アン・レオン・イー・ジーという人物とその関連会社2社に対する著作権侵害行為への停止通告書を送り、2021年に提訴を行った。
KAWSの主張は、レオンと2社が著作権を侵害する数百点の模造品を製造・販売したといもの。その多くには、目がバツになっているKAWSの有名なキャラクター「コンパニオン」が用いられている。KAWS側によると、こうした模造品の小売価格の合計は6300万ドル(約85億円)を超えるという。
裁判資料では、問題の会社はKAWS作品の「カスタムハンドリメイクした複製品」を扱い、オリジナルのフィギュアなどより大幅に低い価格で提供していることを売りにしていたとされる。公にこうしたアピールをしていた点は、レオンと関連会社が「KAWSの模造品販売を意図的に行っていた」という裁判所の判断の根拠となっている。
アーロン・リチャード・ゴラブ弁護士をはじめとしたKAWSの弁護団は、著作権侵害の証拠として154点の模造品を裁判所に提出。このような模造品はKAWSの評判に傷をつけるだけでなく、「購入者がうっかり模造品を購入してしまうのを恐れることで、KAWSのオリジナル作品の市場を冷え込ませる」、つまり模造品の特定に年間4万ドル(約540万円)も費やしているとされるアーティストを常に悩ませる問題になっていると指摘した。
このニュースを最初に報じたArtnet Newsによると、ゴラブと弁護団はこの判決を受け、同事案のもう1人の被告、ジョナサン・アナンドへの判決を求める予定とされる。ゴラブは、この件についてのコメントを控えている。(翻訳:石井佳子)
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