台湾コブラがモチーフ? 4000年前の生贄の儀式に使われたとみられる器の一部を発見
台湾・国立清華大学の考古学研究チームが、4000年前の陶器の蛇を発見した。古代社会で生贄の儀式に使われた可能性があると、ニューズウィーク誌が伝えている。
国立清華大学のフェイスブックページに発掘の一報が載ったこの遺物は、台湾コブラを模した陶器の鉢の取っ手ではないかと推測されている。ヘリテージ・デイリー誌によれば、「台湾に生息する唯一のコブラ科の種」だという。
見つかったのは台湾北西部の桃園市観音区の砂丘にある発掘現場で、数千年前の考古学的遺物が数多く発見されるエリア。
同大学人類学研究所の邱鴻霖准教授によると、脱皮を繰り返す蛇は、古代社会において生と死、そして再生の象徴とされることが多い。ニューズウィーク誌の取材で邱はこう答えている。
「蛇は宗教や神話、文学でしばしば象徴的な動物とされ、天と人との架け橋と考えられています」
邱はまた、この蛇の取っ手がついた器は、呪術者が生贄の儀式で用いていた可能性が高いと考えている。
「古代社会では、生贄の儀式に使う器に動物のイメージを取り入れることで、人々が自らの信仰や認知体系を示そうとしました。そのことがこの遺物に反映されていると思われます」
古代遺物に蛇の図柄が用いられる例は世界各地にあり、昨年9月にメキシコで発見された古代マヤの容器の蓋と思われる大きな石にも蛇の絵が描かれていた。また、フィンランド南西部の湿地帯では、4000年以上のものとされる蛇を象った木の杖が見つかっている。(翻訳:石井佳子)
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